10年以上追跡し、AGE摂取量と乳がん発症リスクとの関連を調査
米サウスカロライナ医科大学は6月10日、米国の大規模がんスクリーニング研究により、終末糖化産物(Advanced Glycation End Products、以下AGE)の摂取量と、乳がん発症リスクに関連があるという新たな知見を発表した。これは、同大HollingsがんセンターのDavid P. Turner医学博士、Susan Steck医学博士らの研究グループによるもの。研究成果は、「Cancer Prevention Research」に掲載されている。
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AGEは、タンパク質と脂質が糖に暴露されたとき、「糖化」と呼ばれる化学変化を経て作られる物質。体内でも自然に産生されているが、加工食品や高温調理された食品に非常に多く含まれており、これらの摂取により体内で過剰になる危険性がある。AGEの存在は少なくとも100年前から知られており、David博士によると「ほぼすべての慢性疾患に関連がある」という。しかし、がんにおけるAGEとの関連研究はようやく進み始めたところで、どのように機能しているかなどは不明である。
今回、研究グループは、食事中のAGE摂取量と乳がんリスクとの関連を調査。この調査は、前立腺がん、肺がん、結腸直腸がん、卵巣がんのスクリーニングを目的に10年以上かけて行われた米国の観察研究「PLCO研究」の一環として行われた。対象者は、研究開始時にがんを発症していなかった55〜74歳の7万8,000人以上の女性。調査開始時と開始から5年後に、食事摂取頻度調査票によるアンケートを実施し、食品中の「NƐカルボキシメチルリジン-AGE(CML-AGE)」の含有量を定量化して解析を行った。
AGE摂取量は非浸潤/ホルモン受容体陽性の乳がんリスクと関連
研究グループは、Cox比例ハザードモデルを用いて、女性全員に対して乳がんのハザード比(HR)、95%信頼区間(95% CI)を推定し、人種/民族、疾患の侵襲性、およびホルモン受容体の状態によって層別化した。追跡期間の中央値である11.5年後、1,592人の女性が乳がんと診断されていた。人種/民族で分類した解析では、女性全体(HR:1.30、95%CI:1.04-1.62)と非ヒスパニック系白人女性(HR:1.21、95%CI:1.02-1.44)でCML-AGEの摂取量が多いと乳がんのリスクが高くなることがわかった。また、CML-AGE摂取量の増加は、非浸潤(HR:1.49、95%CI:1.11-2.01)および、ホルモン受容体陽性(HR:1.24、95%CI:1.01-1.53)乳がんのリスク増加と関連していた。
「今回の研究から、体内でのAGEレベルはがん発症リスクと関連することが明らかとなった。一般の人々に向けてAGEと疾患の関わりについて啓発し、より良い食生活を心がけてもらいたい」と、研究グループは述べている。