厚生労働省は6月30日付の事務連絡で、医薬品開発に関する成人向けの臨床試験に10歳または12歳以上の小児を組み入れて評価する場合の留意点を示した。抗菌薬・抗ウイルス薬、造血器悪性腫瘍など、病態が成人と似ている5疾患が対象。安全性の面から著しく低身長・低体重の人は除外すること、試験期間が長期間にわたる場合は成長が与える影響に注意することなどを記載した。
事務連絡は、小児を対象とした医薬品開発の効率化、適正化を促すことを目的としたもの。対象となる小児は、用法・用量が成人のものと同様となることが想定され、同一製剤を使用できる年齢層とし、腎機能の発達などを考慮して10歳または12歳以上とした。
具体的な対象疾患は、病態が成人と似ているものとして、▽抗菌薬・抗ウイルス薬▽造血器悪性腫瘍▽アレルギー疾患▽2型糖尿病▽家族性高コレステロール血症――を挙げた。
これら全疾患について、小児を臨床試験に組み込む場合は安全性を考慮し、著しく低身長、低体重の人を除外すると共に、試験期間が長期にわたるケースでは、試験期間中の成長と発達が影響する可能性に注意すべきとした。また、倫理面から苦痛を最小化するなどの特別な配慮も求めた。
抗菌薬・抗ウイルス薬では、対象疾患によって臨床試験で得られる小児の情報が異なるため、臨床試験で得られる情報が限定的な薬剤については安全性に関する市販後調査を行い、結果を早期に医療現場に提供するよう求めた。また、耐性菌、耐性ウイルスの出現防止が重要とし、使用には留意が必要とした。
造血器悪性腫瘍に関して用法・用量を設定する場合には、副作用に対する忍容性が年齢によって異なるため留意が必要としたほか、致死的な疾患のため常に治療成績の向上が求められる領域であるとし、承認後もより良い用法・用量の検討が求められるとした。