世界29地域による薬事規制当局国際連携組織(ICMRA)は、ワクチンに関する誤情報によって患者が接種を拒否する事態を避けるため、患者との会話時に説得力を持たせるメッセージを盛り込んだ医療者向け共同声明を公表した。ワクチンの承認には厳密な安全基準があり、低い接種率は集団免疫の崩壊につながる可能性があることなどを記載。また、医療者のワクチンに対する理解を促すため、安全性と有効性の根拠となる規制プロセスも示した。
共同声明では、ワクチンに関する誤情報が拡散して接種への懸念や反対を示す人が増えている現状に対応するため、医療者が患者や他の医療者と会話する場合のサポートとなるメッセージを提示。
具体的には、ワクチンを接種しなければインフルエンザ等の感染症が拡大すること、有害事象のリスクを最小化しつつ、疾患予防を担保するために厳密な安全基準が設けられていること、低いワクチン接種率は予防可能な疾患の流行を招き、集団免疫の崩壊につながる可能性があることなどを強調するよう求めた。
一方で、共同声明ではワクチンの安全性と有効性を強調するため、根拠となる規制プロセスも記載。承認の可否を決めるため、臨床成績試験や製造情報などの科学的エビデンスを用いて安全性等を厳密に評価しており、規制当局は副反応報告を受けると、世界保健機関(WHO)の委員会での議論などを通じて世界の規制当局間で情報共有することなどを記した。
これらを踏まえ、「世界の国民は、ワクチンの安全性と有効性の科学的評価が行われる厳密なプロセスを信用することができる」と結論づけている。