政府は19日、2021年度に重点的に取り組むべき研究領域を示した「医療分野研究開発関連予算に関する資源配分方針案」を健康・医療戦略推進専門調査会に示した。新型コロナウイルス感染症治療薬やワクチン開発に貢献する研究開発を支援する観点から、医薬品など6分野のプロジェクトを進め、臨床上の問題を基礎研究にフィードバックする「リバーストランスレーショナルリサーチ」による創薬研究、次世代の再生医療や創薬に貢献する研究開発などを実施する。今夏に健康・医療戦略推進本部で決定する見通し。
方針案では、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、新型コロナウイルスに対する治療薬、ワクチン、診断法の開発、感染症対策に役立つ多様なアプローチから基盤的研究開発などを加速させる。
具体的には、▽医薬品▽再生・細胞医療・遺伝子治療▽疾患基礎研究▽医療機器・ヘルスケア▽ゲノムデータ基盤▽シーズ開発・研究基盤――の6分野のプロジェクトに注力する。
医薬品分野では、公衆衛生の観点から公共性の高い研究を強化することとし、産学官共同創薬プロジェクトの枠組みを活用しつつ、リバーストランスレーショナルリサーチによる創薬研究を進める。
国内企業とアカデミアが一体となって構築してきた抗体製造プラットフォームについて、より実用性の高い製造技術として確立させると共に、次世代抗体の製造技術に関する技術開発を進める。
再生・細胞医療・遺伝子治療分野では、iPS細胞や体性幹細胞を用いた再生・細胞医療と遺伝子治療の実用化を目指し、次世代の再生医療、創薬の実現に貢献する挑戦的な研究開発と基盤技術の研究開発、製造技術の基盤技術開発や整備などを支援する。遺伝子治療については、癌免疫療法、ウイルス療法等を用いた治療の前臨床研究や医師主導治験を行う。
疾患基礎研究分野については、新型コロナウイルスを含めた感染症研究について、多様な分野の研究者の参画を促し、今後の感染症対策に役立つ研究を進める。
また、脳科学研究を戦略的に進めるために横断的な研究プロジェクトも実施していく。