厚生労働省は17日、来年からの毎年薬価改定に向け、2020年度薬価調査の計画案を中央社会保険医療協議会薬価専門部会に示した。新型コロナウイルス感染症に対応する医療現場の負担に配慮し、購入側の医療機関・薬局の調査対象施設数を前回調査の半分に絞るほか、販売側である医薬品卸の抽出率を全体の3分の2(67%)にして行うことなどを提案。診療側委員からは調査実施に反対する声が多数を占めた一方、支払側からは調査結果を見た上で、改定実施の可否を判断すべきとの意見が上がった。
厚労省案は、20年度薬価調査は9月の取引分を対象に実施し、購入側である医療機関と薬局に対する調査については、新型コロナウイルス対応に苦労している現場の負担に配慮して対象施設数を19年度調査の半分にして行うというもの。具体的には、病院約210、診療所約260、保険薬局約500施設での実施を提案した。
販売側である医薬品卸の調査では、対象企業の負担を軽減しつつ、一定の精度を確保するため、対象企業の抽出率を全体の67%に設定した。
昨年、地域医療機能推進機構(JCHO)の入札に関する医薬品卸大手4社の談合疑惑が発覚した事案を踏まえ、4社とJCHO間の取引分については、今回の調査から除外することとした。
診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「実際に調査を行った場合の結果を考えると、明らかに精緻な数字が出ないと懸念している。今年度に限っては、調査を行うべきでない」と述べた。
松本吉郎委員(日本医師会常任理事)も、「現時点で具体的な実施方法を議論することは理解できない。薬価調査の実施を決めてから判断するのが筋だ」と同調した。
一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「まず調査を必要最低限行った上で、出た結果がとんでもないものであれば、その時点で改定しないと判断できる」とした上で、「調査自体をやめてしまうという結論を出すのは妥当ではない」と訴えた。
今後の議論のスケジュールについて、林俊宏医政局経済課長は「9月に行うことを前提とすると、今月中には方針を決めてほしいが、今回の議論を踏まえ、最終的な結論を遅らせても対応できるかどうか精査する必要がある」との考えを示した。