調査は、厚生労働省の「薬局の連携体制整備のための検討モデル事業」の一環として実施したもの。大阪府下7地域薬剤師会の会員から投薬後にフォローアップを実施した症例を集め、体調変化や服薬状況の把握に対する貢献、最適な連絡手段や頻度などについて解析を行った。
その結果、収集した約260症例の年齢層は60代以上が全体の81%を占め、70代が最も多かった。対象疾患は幅広く、高血圧や糖尿病、不眠症、リウマチ、骨粗鬆症などが挙がった。
連絡手段は、電話が57%と最も多く、訪問が14%と続いた。FAXやメール、LINEの活用は数例しかなく、患者の来局を促すなど「その他」の手段は26%だった。
フォローアップの頻度は「7日ごと」が63%と最多で、「14日後や14日ごと」9%、「毎日」3%、「10日後や10日ごと」2%、「2日ごと」2%などとなっていた。
薬局薬剤師がこれらの手段や頻度で患者に体調変化の状況を聞いたところ、「変化なし」57%、「症状の改善があった」33%、「有害事象があった」10%という結果だった。服薬状況については「飲めている」81%、「概ね飲めている」14%、「飲めていない」5%という回答を得た。
患者を対象に、フォローアップの満足度を聞いたところ、86%が「満足」、14%が「どちらでもない」と回答。「今後も薬局からの連絡が必要か」との問いには、83%が「必要」と回答し、高い評価を得られた。
昨年12月に公布された改正医薬品医療機器等法には、薬剤師による服用期間中のフォローアップの義務化が盛り込まれた。今回の調査は、今後薬剤師が取り組むべきことを先取りして実施した格好になった。
調査結果について大阪府薬の堀越博一常務理事は「10%の有害事象は、結構な割合だと思う。もしかすると、これまでも有害事象が発現し、服薬を中止してしまう患者がかなりの割合で存在していたのかもしれない」と指摘。
「薬局は何かあれば患者から連絡を受けて対応しているが、能動的に連絡をとった結果、患者の状況をしっかり把握できた。患者からも必要性が支持される結果になった」と語る。
一方、今後の課題として「改正薬機法を受けて、薬剤師がひたすら患者にフォローアップの電話をかけることを危惧している。患者にとって、薬局が鬱陶しい存在に変わってしまう。連絡の必要度を考慮した上で、患者個々に応じたきめ細やかなフォローが必要になる」と指摘する。
今回の調査でも、工夫した症例として、会員から「独居で耳が遠く、電話でのフォローが難しい患者には、散歩のつもりで薬局に寄ってと伝え、来局を促した」との報告があった。
堀越氏は「患者に応じた様々な方法がある。今後、患者の生活サイクルの中に薬局がいかに組み込まれるかが重要になる。その一つとして、薬局に寄ってもらうのは良い方法ではないか」と話している。