厚生労働省は2日、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判定するPCR検査について、発症から9日以内の患者であれば、唾液を検体とすることを可能とする考えを示した。鼻奥の粘液を検体として採取する現在の方法は患者の肉体的負担が大きく、医療者が飛沫感染するリスクもあるため、唾液を検体とすることで負担を少なくする。
同日付で保険適用し、承認済みの検査キットを唾液で検査できるよう使用目的を一部変更する薬事承認なども行った。無症状の患者は、引き続き鼻から検体を採取する。
新型コロナウイルスのPCR検査では、帰国者・接触者外来などで、感染が疑われる人の鼻奥の粘液を検体として綿棒で採取した上で、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判定している。
ただ、採取時にくしゃみによる飛沫で医師など医療者の感染リスクが懸念されるほか、患者の肉体的負担も大きいことから、負担をより小さくするため、唾液を検体として検査することを認めた。発症から9日目間程度の患者の唾液から検出されるウイルス量は、鼻の粘液とほぼ同等としている。
検査では、患者が1~2mL程度の唾液を自己採取して滅菌容器に入れる。検査に携わる医療者はガウンやフェイスシールドなどによる感染防護は不要となり、マスクと手袋のみの着用で可能とした。
ただ、判定に必要な時間は、現在と同様に4~6時間かかるほか、症状が見られない人については引き続き鼻から採取した粘液を検体とする。
今回の判断は、厚生労働科学研究「新型コロナウイルス感染症の診断における鼻かみ鼻汁および唾液の有用性の検討」(代表研究者:加藤康幸国際医療福祉大学医学部感染症学教授)の結果を踏まえたもの。
具体的には、唾液を検体としたPCR検査が新型コロナウイルスに感染しているかの診断に使えるか検討した結果、発症から9日以内の患者については、唾液から採取した検体と鼻奥から採取した検体とで判定結果に高い一致率が見られたとした。