経済産業省は、患者や医療機関が医療用医薬品を後発品に切り替えることを促すため、患者が病院の窓口で支払う医療費の20%以内であれば、保険者向けのサービスとして金銭や商品券、ポイントなどのインセンティブを患者に提供することは認められるとの見解を示した。
経産省が運用するグレーゾーン解消制度では、企業が実施する事業が規制対象になるかどうかを事業者が照会できる。今回、自治体や企業が抱えるヘルスケア分野の課題に対して、コンサルティング業務を行う事業者が医療保険者向けに検討している新規サービスについて、規制対象に当たるかどうか照会した。事業者は医療用医薬品や医療機器の製造販売業者ではない。
サービスの詳細を見ると、事業者が保険者からの委託を受けて、金銭、商品券、ポイントなどを医療機関や患者に提供することにより、後発品への切り替えを働きかける。患者に提供するインセンティブは、患者が病院の窓口で支払う医療費の0~10%程度に設定する考え。
今回の照会は、このインセンティブ提供が景品表示法や、懸賞ではない方法で提供する景品類の価格を取引価格の20%以内に制限する公正取引委員会の告示内容に当たるかどうかを確認したもの。
また、公取委の告示にある「医療用医薬品等の販売業者は取引を不当に誘引する手段として、医療機関等に対して適当と認められる範囲を超えて景品類を提供してはならない」の規定にも当たるか判断を求めた。
経産省が景品表示法等を所管する消費者庁に確認したところ、インセンティブは取引価格の20%以内であり、照会した事業者は医療用医薬品等の製造販売業者にも当たらないことを踏まえ、「原則として規制対象に当たらない」との見解を示した。