日本薬剤師会の山本信夫会長は14日の定例会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う薬局経営への影響を把握するため、主に役員が経営する52薬局を対象に行った緊急調査結果を報告。4月の技術料収入が前年同期比で2割程度落ち込んでいることを明らかにした。山本氏は「5月、6月はさらに落ち込むだろう」と見通し、政府与党が進める第2次補正予算案編成で薬局へのさらなる財政支援を訴えた。
緊急調査は、日薬が4月30日に加藤勝信厚生労働相宛てに提出した薬局への財政支援などを求める要望書の裏付けとなるデータ収集のために行った。
山本氏は、「技術料の落ち込みは全体で2割程度だが、中には5割ほど下がった薬局もある」と指摘。「処方箋枚数も長期処方の影響などで25%ほど落ち込んでいる。いろいろ勘案すると、かなり落ち込みが大きい」と指摘。「5月、6月に予測されるさらなる落ち込みを踏まえると、多くの薬局で資金不足に陥ってしまう」と危機感を示した。
その上で、医療提供施設である薬局について、「感染拡大によって来局者数が減ったとしても閉めることができない。国の貸付金制度などの支援策は無利子、無担保といっても無返済ではない。返さなければならないものは増えていく」と指摘。「薬局機能を維持する観点からも、第2次補正予算で追加的なサポートが必要」と訴え、そのためのロビー活動をしていることを明らかにした。
また、山本氏は、新型コロナウイルス感染症治療薬として承認を目指している抗インフルエンザ薬「アビガン」について、院内投薬にすべきといった指摘があることに言及。「アビガンは、催奇形性や急性腎障害などの副作用が認められており、医薬品の安全対策は薬剤師しかできない。医薬品を正しく使うためには、薬の専門家が関わることが必要。それを院内に限るというのは趣旨に合わない」との認識を示した。