■岐阜や愛知も同様事業
新型コロナウイルス感染症の影響で、マスクが薬局やドラッグストア店頭で欠品など品薄が続く一方、高値販売も横行しているのが現状である。こうした背景から、自治体が生活者に対して適正価格でマスク購入を斡旋する事業が北陸エリアを中心に広がっている。
自治体が発行する「マスク購入券」を世帯に配布し、指定された店舗に持参することで、マスクを購入できる取り組みが4月から福井県でスタートした。同県では地元のドラッグストアのゲンキー(福井県坂井市)の店舗を販売場所に指定し、マスクの販売斡旋を実施している。
マスク購入券の配布は、日本郵政の全住所配布のシステムを活用。住宅1戸ごとに1枚を配布。販売期間は当初、今月10日までの予定だったが、県民に広く行き渡るようにするために、月末まで延長された。
一方、隣接する石川県や富山県でも、福井県の事例を参考に、「マスク購入券」を県内世帯に配布し、県内の指定小売店での販売を開始した。
石川県では、県下の50万戸に購入券を配布。18日から地元ドラッグストアのクスリのアオキ(石川県白山市)の県内72店舗を通じて販売している。アオキの店舗が存在しない市町もあるが、「地域で購入券をまとめて近隣の店舗で購入するような対策を取る」(県産業政策課)という。富山県は、県下約42万世帯に購入券を配布し、地元スーパー等の協力を得て店頭での斡旋販売を18日から開始した。
3県ともマスク購入券1枚で2箱(1箱50枚入り)まで購入でき、価格については、福井県と石川県で1箱2350円(税込み)、富山県では2200円(税込み)とほぼ卸値での販売を斡旋している。
マスク購入券の配布を先行して進めている福井県では、「県外に住む家族のために送付したいという人も少なくないため、多くの県民が2箱を購入している」(県創業・経営課)という。
現在、自治体によるマスク購入券配布による地元企業など連携した販売は、北陸3県にとどまらず、岐阜県美濃市や愛知県蒲郡市でも同様の取り組みが行われている。
マスクは、新型コロナウイルス感染拡大予防のツールとして不可欠になっている。マスク購入券配布は、店頭での品薄解消までのつなぎの施策ではあるが、官民相互協力のもとでの取り組みの成果次第では、全国の他自治体に拡大する可能性がある。