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自閉症児は、乳児期に脳脊髄液のバソプレシン濃度が低いと判明-米スタンフォード大

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2020年05月13日 PM12:45

CSFのバソプレシン低濃度を10代までの自閉症児で確認、乳児期でも低いのか?

米スタンフォード大学は4月27日、自閉症児は、そうではない児に比べて、新生児期の脳脊髄液(cerebrospinal fluid、以下CSF)における「」の濃度が、有意に低いことがわかったと発表した。これは、同大医学部精神行動科学のOzge Oztan博士、Karen J. Parker准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されている。


※イメージ

自閉症は、行動症状から2歳前後に診断が可能となるが、自閉症と診断できる専門医は少ない上、バイオマーカーが特定されていないことから、診断が4歳以降に遅れることもある。過去の研究で、自閉症のきょうだいがいるなどハイリスク乳児は、乳児期には行動症状を示さないことがわかっている。

バソプレシンは、オキシトシンと同様に9つのアミノ酸からなるペプチドホルモン。哺乳類のオスにおいて、メスとのつがい形成や、ファザーリング(fathering)といった社会的行動に影響を及ぼしている。同研究グループは以前に、脳脊髄液のバソプレシンレベルについて調べ、10代以下の自閉症児は、そうではない児と比較して、バソプレシンの濃度レベルが低いことや、バソプレシンレベルが最も低い児では重度な自閉症症状がみられることを明らかにしてきた。また、バソプレシンを自閉症児に投与したところ、社会生活能力に改善が見られたが、オキシトシンの投与では改善がみられないことも確認している。

新生児期のCSFサンプルでバソプレシン低濃度を確認、早期介入の手立てに

今回の研究では始めに、生後3か月未満の乳児から採取・凍結保存されていたCSF(n=913)をカルテと照合し、後に幼児期で自閉症と診断された児11人を特定。12歳までに自閉症と診断されなかった児を含む2つの対照グループと合計して、CSFサンプル33人分について比較検討した。

その結果、幼児期に自閉症と診断された児では、そうでない児と比べて、乳児期におけるCSFのバソプレシン濃度が有意に低いことがわかった。9人中7人分のCSFサンプルは自閉症の発症を正しく予測し、残る2人分は、後にADHDを発症した児のものであった。また、同サンプルのオキシトシンレベルについても調べたが、自閉症児とそうではない児で違いは確認されなかった。

今回の研究により、早期発見が可能な自閉症のバイオマーカーが存在する可能性が示された。バイオマーカーで自閉症を早期に診断できれば、早期治療開始も可能となる。「今後、より大規模な研究を行うことで、バソプレシンの濃度低下は自閉症特有のものかを明らかにし、さらに、新生児期からみられる自閉症特有の血中バイオマーカーを探索したい」と、研究グループは述べている。

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