厚生労働省は7日、米ギリアド・サイエンシズが申請した抗ウイルス薬「レムデシビル」(販売名:ベクルリー点滴静注液100mg、同点滴静注用100mg)の製造販売を特例承認した。新型コロナウイルス感染症を効能・効果とする治療薬の承認は国内初。通常よりも早期に承認可能とする医薬品医療機器等法に基づく特例承認の適用は10年ぶり。投与対象を人工呼吸器等が必要な重症患者に限定する。投与経験が極めて限定的なことから、臨床試験の成績が得られ次第、速やかに提出することなどを承認条件とした。患者の費用負担はないが、現時点では日本への供給量や供給時期は未確定としている。
同日にオンラインで開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で特例承認して差し支えないと了承されたもの。レムデシビルの効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症」で、人工呼吸器による管理や体外式膜型人工肺(ECMO)の導入が必要な人など、重症患者に投与対象を限定した。
用法・用量は、成人と体重40kg以上の小児に対して投与初日に200mg、2日目以降は100mgを1日1回点滴静注する。ただ、人工呼吸器等が必要な重症患者の総投与期間は10日まで、これら器具が導入されていない患者は5日目までとし、症状改善が見られない場合は10日目まで投与することとした。
承認条件として、現時点での有効性・安全性に関する情報が極めて限定的なため、投与された全症例の安全性・有効性に関するデータを収集して報告することや、現在実施中の臨床試験成績を速やかに提出することなどを求めた。
承認前からレムデシビルの日本への供給量が懸念されていたが、厚労省は「配分や供給時期は現時点で確定していない」と述べるにとどめた。
特例承認後、記者団の取材に応じた加藤勝信厚労相は「レムデシビルを投与することで重症患者の症状改善につながることを期待したい」とコメント。「供給量が限られるが、あらゆるルートを使って必要な量を確保するよう努力し、必要とする医療機関に届けたい」との考えを示した。