大日本住友製薬と日本ジェネリックは4月27日、2型糖尿病治療薬「メトホルミン塩酸塩」の自主回収(クラスI)を開始した。昨年12月に厚生労働省がメトホルミン塩酸塩を製造販売する企業に対し、製剤と原薬について発癌性物質「N-ニトロソジメチルアミン」(NDMA)の分析を指示していたが、両社が販売するPTP包装品の複数ロットから管理指標を超えるNDMAが検出された。国内外で重篤な健康被害が発生したとの報告はないという。
メトホルミンをめぐっては、昨年12月に海外でメトホルミン含有製剤からNDMAが検出されたことに伴い、一部の事業者が自主回収を開始。欧州EMAや米FDAからもメトホルミンの使用に関する注意喚起が行われ、厚生労働省が昨年12月9日付の事務連絡で、メトホルミンを含有する有効期限内の製剤と原薬について製薬企業15社にNDMAの分析を指示していた。
これを受け、先発品メーカーの大日本住友では「メトグルコ錠250mg、同500mg」の製剤と原薬の分析を行ったところ、2017年9月14日~19年12月24日に出荷したPTP包装品の複数のロットから管理指標を超えるNDMAが検出されたため、医療機関や特約店からの自主回収を決定した。今月末までに自主回収を完了させ、7月末から新包装品を供給する。
原因は明確ではないものの、PTPアルミ箔の印刷インクに含まれるニトロセルロース系樹脂由来物資が錠剤中の原薬に含まれていたジメチルアミンと反応してNDMAが生成された可能性があるとしている。
該当製品は国内で包装されているが、NDMAに関連した重篤な健康被害などの報告は受けていないとしている。
後発品メーカーの日本ジェネリックも、メトホルミンの250mg錠、500mg錠の全ロット、使用原薬の一部ロットを分析した結果、17年10月26日~18年8月29日に出荷した500mg錠の一部ロットから管理指標を超えるNDMAが検出された。
大日本住友と同様、PTP包装との相互作用が要因としており、6月末までに自主回収を完了させ、PTP包装仕様や包装資材を変更した新包装品の供給を6月に開始する予定。
同剤の250mg錠のPTP包装品、250mgと500mgのバラ包装品では、NDMAの管理指標を超えるロットはなかった。