人工呼吸器生産は毎週4,000台を目標に
株式会社フィリップス・ジャパンは4月28日、オンラインでプレスセッションを開催した。同セッションでは、同社代表取締役社長の堤浩幸氏が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する同社の取り組みについて講演した。
株式会社フィリップス・ジャパン
代表取締役社長 堤浩幸氏
冒頭で、堤氏は医療従事者をサポートするソリューションの一つとして、医療現場での需要が高まっている人工呼吸器の、同社における生産状況について触れた。従来、人工呼吸器の生産は500台/週程度であったが、1月には1,000台/週程度にまで強化。今後は4,000台/週まで生産拡大を目指すとし、「現在、4,000台/週に近い生産体制になりつつある」と発表した。なお、汎用型人工呼吸器については、1万5,000台/週の生産を目標としているという。堤氏は、「今後も、タイムリーに供給できるような努力を行っていく」と述べた。
COVID-19の重症度別・施設状況にあわせたソリューションを提供
続いて堤氏は、COVID-19の重症度別に、施設の状況にあわせたソリューションを紹介。まず、無症状者・軽症患者が滞在するホテルなどに対するソリューションとして、「SOSボタン」「遠隔問診」などを紹介した。
SOSボタンは、医療機関におけるナースコールのようなサービスで、患者がボタンを押すと、スマートフォンアプリを通じてスタッフに通知が届く仕組み。ナースコール設備のないホテルなどの施設においても、すぐにシステム構築が可能だという。同社は、COVID-19対応に特化した製品として、「SOSボタンLite」を導入。想定される使用者の重症度は、今後増加が予想される「無症状者・軽症患者」で、導入ケースとしては、患者を受け入れるホテルなどの施設や、自宅療養者への利用を想定しているという。
遠隔問診は、新型コロナウイルスへの感染が疑われる患者が、自宅にいながらオンラインで症状の評価を受けるシステムで、事前スクリーニングにより患者の来院を制御することを目的としている。患者がパソコンやスマートフォンから問診に回答すると、結果がクラウドへアップロードされる仕組みだ。感染リスクが高い患者の通常外来への来院を防ぎ、別の対策をとることで、院内感染のリスクを抑えるといった効果が期待される。同社は、遠隔問診だけでなく、酸素濃縮器、汎用人工呼吸器等をパッケージソリューションとしても提供する。
次に、軽症・中等症患者に対応する医療機関(関連する特別施設を含む)に対するソリューションとして、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)などを紹介した。同サービスでは、医療機器などを搭載した車両(モビリティ)で患者の元へ向かい、モビリティ内で検査やオンライン診療を実施したり、モビリティに搭載した医療機器などをCOVID-19の軽症患者が滞在するホテルなどの施設に持ち込み、検査やオンライン診療を実施したりする。同サービスにより、患者の医療機関への来院を必要最小限にとどめることや、医療従事者への感染リスク低減が期待できる。
最後に、重症患者に対するソリューションとして「遠隔ICU」を紹介。同サービスでは、ICUなどにいるベッドサイドスタッフと支援センターの専門スタッフが遠隔で連携することにより、COVID-19患者の管理を行うことができる。同サービスについて「ICU専門の医療従事者が少ない現状において、ひとつのサポートになれば」と堤氏。同サービスは薬事未承認で現在トライアル中だが、堤氏は「現場の医療従事者の負担軽減や患者の早期退院のために、今後拡大を目指したい」と、考えを述べた。
対応の中長期化に向け、サステイナブルなオペレーションが必要に
新型コロナウイルス感染拡大により、今後、COVID-19患者への対応が中長期化する可能性も出てきた。このような状況を受けて「サステイナブルなオペレーションが必要」と、堤氏はコメント。「(COVID-19治療では)いかに軽症で抑えるかが大切で、仮に中等症に移行したとしてもそこで食い止めたい」とし、「今後も、新型コロナウイルス対策に特化した最適なソリューションを強化、具体化していく」と述べ、講演を締めくくった。
▼関連リンク
・株式会社フィリップス・ジャパン ウェブサイト