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【理科大などグループ】新型コロナウイルスを排除-HIV薬と脱毛症薬の併用で

読了時間:約 1分30秒
2020年04月27日 AM10:15

東京理科大学と国立感染症研究所などの研究グループは、」と脱毛症治療薬「」の併用投与により、新型コロナウイルスに感染した細胞から検出限界以下までウイルスを排除できたとの研究結果を公表した。実際の臨床で使用する投与量で併用した場合も、累積ウイルス量が約7%まで、ウイルス排除までの期間も約5.5日短縮した。研究グループは「新たな治療法を提案し、新規伝播の抑え込みに有用な知見を提供するもの」としている。

■理科大などグループ

同大学大学院理工学研究科の渡士幸一客員教授らのグループが、国立感染症研究所などと共同で行ったもので、新型コロナウイルスの治療薬とワクチン開発にかかる時間を考慮し、他疾患対象の既承認薬を用いて治療法を探索した。

具体的には、感染研が分離、提供した新型コロナウイルスの増殖に対する約300品目の既承認薬について効果を確認したところ、5品目がウイルス増殖による細胞損傷を抑えたことを確認した。

このうち、抗HIV薬のネルフィナビル、脱毛症治療薬のセファランチンについて、感染細胞から放出されるウイルスのRNAを1日で最大0.01%以下まで減少させたことから、「治療薬候補と位置づけられているファビピラビル、ロピナビル、クロロキンよりも強い活性を持っている」とした。さらに、両剤を併用することで、1日で感染細胞からのウイルス排除を検出限界以下までできたことも確認した。

実際に臨床で使用される投与量で確認したところ、併用した場合は、累積ウイルス量が約7%となり、ウイルス排除までの期間も約5.5日短縮した。

ネルフィナビルは、ウイルスの複製に必要なメインプロテアーゼ、セファランチンはウイルスと細胞の吸着に必須のウイルススパイク蛋白質に結合することで、これらの作用を示した可能性があるとしている。

研究グループは「ウイルス感染実験、インシリコ解析、数理解析など様々な技術を用いることで、ウイルスに対する新たな治療法を提案し、新規伝播の抑え込みに有用な知見を提供するもの」との見方を示している。

 

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