筑波大学は、切除不能な皮膚血管肉腫の患者を対象に、小野薬品の抗癌剤「ニボルマブ」(製品名:オプジーボ点滴静注)の医師主導治験を今週にも開始すると発表した。同疾患に対する免疫チェックポイント阻害剤の治験は世界初。筑波大のほか国立がん研究センターなど全国11施設で実施し、4年後をメドに結果公表する考え。
今回の医師主導治験は、小野薬品が支援し、筑波大病院のほか、がん研究センターや東北大学など全国11施設で実施する。具体的には、▽皮膚血管肉腫と診断されている▽手術や放射線治療での根治が見込めない▽パクリタキセルによる治療を実施済み▽腫瘍の大きさが測定できる――の条件を全て満たした患者にニボルマブを投与する。最長2年間治療し、治療期終了から28日間にわたって患者の状態を観察する。
筑波大や京都大学などによる研究成果を踏まえて行う。研究グループは、過去に皮膚血管肉腫と診断された患者の腫瘍組織を調べた結果、腫瘍細胞にPD-L1分子、免疫細胞にPD-1分子が発現しており、腫瘍細胞にPD-L1を発現している患者は発現していない人と比べて予後良好との成果を発表していた。
この研究成果について、筑波大は「免疫チェックポイント阻害剤が同疾患の患者に効く可能性を示すもの。これまでの治療方法では治すことが難しかった患者にとって、有効な治療選択肢の一つとなる可能性がある」としている。
皮膚血管肉腫は、血管の内皮細胞から発現する癌で、高齢者の頭皮に現れやすい。病状の進行が早く、再発しやすいなどの特徴を持ち、予後も極めて悪い。治療方法として、切除、放射線治療、抗癌剤治療が行われている。