現在、感染疑いの患者がPCR検査を受けるためには、保健所が設置する帰国者・接触者相談センターに電話した上で、検査が必要と判断された場合に、検査を実施する帰国者・接触者外来を受診する流れとなっている。
ただ、急速な感染拡大により、相談センターや同外来の業務量が増加している現状を踏まえ、事務連絡では、都道府県等の医師会に所属する医療機関を地域外来・検査センターとして扱い、PCR検査を集中的に行うことが可能とした。同センターは帰国者・接触者外来と同様、一般には公表されない。
同センターにPCR検査を委託する場合、センターで行われたPCR検査の受診者の氏名、住所、生年月日など、検査を行う上で必要な情報を保健所に全例報告するよう求めた。また、医療者の感染を防止するための用具整備も必要とし、整備に必要な費用は国が補助するとしている。
患者の検体を採取した医療者については、適切に感染防止が行われていれば濃厚接触者に当たらず、就業制限の対象にならないとしている。
■都などに検査特化施設-日医・釜萢常任理事
PCR検査体制の充実をめぐっては、同日に都内で記者会見した日本医師会の釜萢敏常任理事(感染症危機管理対策担当)が「相談センターを介さずに、医師が必要と認めた対象者を直接検査できるところに誘導することが必要」とし、感染者数が急増する東京都などで検査に特化した施設の設置を進めていることを明らかにした。その上で、「場合によっては、同様のものを増設することが必要」との考えを示した。
一方、釜萢氏は、検査で陽性と判定された人については、「宿泊施設や自宅で健康観察するか、入院施設に誘導する振り分けが非常に大事」と述べ、振り分けを行う都道府県職員を検査センターや帰国者・接触者外来に配置することを求める考えを、国の専門家会議の提言に盛り込むよう調整していることも明らかにした。釜萢氏は「この出口戦略がうまくいけば、PCR検査の流れは非常に円滑になる」とした。