日本ビーシージーは、結核予防を目的とするBCGワクチンについて、新型コロナウイルス感染症に対する適応外使用をやめるよう医療関係者に呼びかけた。新型コロナウイルスに対する予防効果を期待して、未接種の成人や高齢者から接種を希望する声が上がり、実際に誤接種する事例が見られることや、ワクチン供給量の増加により乳幼児に対する定期接種の供給に影響を及ぼすことを懸念したもの。同社は「結核予防以外の使用に対する有効性・安全性は確立していない」との見解を示している。
BCGワクチンは結核予防を目的に、0歳児の小児を対象に定期接種が行われている。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大により、新型コロナウイルスワクチンの接種による予防効果に期待し、未接種の成人等から接種を希望する声が上がっている。実際に、適応外使用による「重大な誤接種」も確認されている。
この現状を踏まえ、日本ワクチン学会は、新型コロナウイルスに対してBCGワクチンが有効でないかという仮説に対して「真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、推奨もできない」としたほか、「新型コロナウイルスの発症・重症化の予防を目的としておらず、高齢者への接種に関わる知見は十分でない」との見解を示している。
日本ビーシージーも、結核予防以外の使用に対する有効性・安全性は確立していないとし、ワクチンの出荷量が例年以上に増加しているため、「この状態が続くと乳幼児に対する定期接種の供給に影響を及ぼす可能性がある」とした。
その上で、「結核予防を目的としたワクチン接種の推奨と、乳幼児の定期接種に必要な供給量の確保が第一」とし、適応外の使用を再考するよう医療関係者に求めた。