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日本人の肝硬変、ウイルス性肝炎起因が減少し非ウイルス性が増加傾向-兵庫医大

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2020年04月14日 AM11:45

2008年から国策としてウイルス性肝炎起因の肝硬変減少に取り組んだ成果は?

兵庫医科大学は4月13日、肝硬変の全国調査の結果、ウイルス性肝炎に起因する肝硬変が減少し、非ウイルス性肝硬変が増加している実態を明らかにしたと発表した。この研究は、同大内科学 肝・胆・膵科(現:消化器内科学)の榎本平之准教授らによるもの。研究成果は、「Journal of Gastroenterology」に掲載されている。

日本ではB型肝炎ウイルスやC型ウイルスの感染者が150万人~200万人存在すると考えられ、ウイルス性肝炎は国民病とも呼ばれている。一方、近年の治療薬の発展により、ほとんどの症例でウイルスの制御が可能となって来ている。これを受けてWHOは、肝炎ウイルスに関する知識向上と検査・治療サービスへのアクセス向上によって、2030年までに肝炎ウイルスを世界から撲滅するという目標を2016年に掲げた。日本では、国家主導による肝炎対策が2008年から世界に先駆けて行われてきた。慢性肝疾患が進行すると肝硬変と呼ばれる状態になるが、国策としての取り組みにより、日本ではウイルス性肝炎からの肝硬変が減少することが期待された。そこで2018年の第54回日本肝臓学会総会において、肝硬変の成因に関する実態把握を目的に全国調査が行われた。

全国5万例弱の実態調査結果、ウイルス性は減少も非ウイルス性は増加

研究グループは、第54回日本肝臓学会総会でポスターシンポジウム「肝硬変の成因別実態」に応募があった68演題(全国79施設)の協力のもと肝硬変症例の成因について集計を実施。最終的に4万8,621例が解析対象となった。C型肝炎とB型肝炎に起因する肝硬変は、それぞれ48.2%と11.5%であり、依然として肝炎ウイルスに起因する症例が約60%と過半数を占めていた。しかし、2007年以前、2008~2010年、2011~2013年、2014年以降の4つの年代に分けて成因を比較すると、2007年までは73.4%であったウイルス性肝炎由来の肝硬変は 2014年以降では49.7%へと減少していた。

一方で、非ウイルス性肝硬変は増加し、アルコール性肝硬変は13.7%から24.9%に、また非アルコール性脂肪肝炎に由来する肝硬変は2.0%から 9.1%へと増加していた。これらの結果から、日本においてウイルス性肝炎に起因する肝硬変が減少し、非ウイルス性肝硬変が増加している実態が明らかとなった。研究グループは、今後は肝硬変の合併症である肝がんの発症などについても、その推移を明らかにしていく必要があるとしている。

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