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生きた植物乳酸菌とアルコールの同時摂取で、アルコール中毒症状を回避-広島大ほか

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2020年04月13日 AM11:45

ラクトバチルス・プランタルム SN13Tの生菌体とアルコールの同時摂取で

広島大学は4月10日、マウスにエチルアルコール () を投与するとアルコール中毒症状が誘発されるが、植物乳酸菌ラクトバチルス・プランタルム SN13T(Lactobacillus plantarum SN13T) の生菌体をアルコールと同時に摂取させると、アルコール中毒症状が回避されることを発見したと発表した。これは、同大大学院医系科学研究科 ・予防医学共同研究講座の杉山政則教授らの研究グループと中国醸造株式会社との共同研究によるもの。研究成果は、「International Journal of Molecular Sciences」に掲載されている。

過度な飲酒は、高血圧、脂質代謝異常症、糖尿病などの生活習慣病のリスク因子となる。アルコールによる臓器傷害は肝臓のみではなく、他の消化器、心臓、血管などにも悪影響を及ぼす。

未病・予防医学共同研究講座では、未病の改善と予防医療に有効な「プロバイオティクス」に関する研究を推進している。数年前より、「広島大学 未病・予防医科学共創研究所」の創設および維持に関与するコンソーシアム企業の1つである中国醸造とともに、アルコールによる肝機能不全を回避できるプロバイオティクスの実用化に関する共同研究を行ってきた。

SN13T生菌体が腸内細菌叢の悪い方向への変動を抑制、新薬やサプリメントの開発に期待

今回の研究では、C57BL/6Jマウスを7.5(v/v)%エタノールを含む食餌 (Research Diet社、L10016)で2週間飼育。その結果、エタノールを含まない食餌群(Research Diet社、L10015)と比べ、血中 ASTおよびALT値が上昇したが、SN13T株生菌体の同時摂取により、その上昇が抑制されることが実証された。一方、エタノール摂取群では、腸内細菌叢の破綻(dysbiosis)が起きて腸管炎症に関与する細菌が増加し、かつ、腸粘膜の保護に寄与する腸内細菌が減少していた。さらに、盲腸内容物をメタボローム解析した結果、アルコール摂取群では体組織の腐敗時に生成されるカダベリンやチラミンなどのアミンが増加し、イソ酪酸の生成も認められた。腸内細菌叢の変動とこれら腐敗物質の増加は、エタノールとSN13T生菌体を同時摂取させた場合には抑えられたという。

このように、エタノールの過剰摂取は腸内細菌叢を変化させ、炎症および腐敗物質の産生を高めるとともに、腸粘膜保護に寄与する腸内細菌を減少させることがわかった。また、これらの結果から、摂取したSN13T生菌体が、直接もしくは腸内細菌とのコラボレーションにより、腸内細菌叢の悪い方向への変動を抑えることが推察された。

近年、腸内細菌叢とさまざまな疾患とを関連付ける研究報告が増えている。研究グループは、「今後、腸内細菌叢を健康維持へと向かわせるためのプロバイオティック利用研究をさらに加速させる。その1つとして、現在、植物乳酸菌の生菌体を常温で長期保存するための技術開発にも取り組みつつ、機能性植物乳酸菌による疾病治療と予防改善に寄与するサプリメントと医薬品を開発していく」と、述べている。

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