政府は7日の臨時閣議で、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する緊急経済対策と、その裏付けとなる2020年度補正予算案を決定した。感染拡大を防ぐため、期間を限定して初診患者を含めたオンライン診療の実施や、対面患者へのオンライン服薬指導などを認めた。富士フイルム富山化学の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)を年度内に200万人分備蓄するため、厚生労働省の予算として139億円を充て、不足する130万人分を購入することなども盛り込んだ。西村康稔経済再生担当相は補正予算案について、「一日でも早く成立させ、実行に移すことで現在の難局を乗り越えたい」との考えを示した。
緊急経済対策では、同ウイルスが世界経済に与える影響について「戦後最大とも言うべき危機に直面している」とし、緊急事態宣言発令後の経済対策として、▽感染拡大防止策と医療提供体制の整備および治療薬開発▽将来を見据えた強靱な経済構造の構築――などに国が戦略的に取り組むこととした。
感染拡大防止策と医療提供体制の整備、治療薬開発の詳細を見ると、医療機関等での感染拡大を避けるため、期間を限定した上で、初診患者も含めてオンラインや電話による診療の実施を認める。時限的措置として、対面診療を受診した患者に対してもオンライン等での服薬指導を可能とした。厚労省は、オンライン服薬指導を行った患者に薬局が薬剤を配送する費用の支援として4億5000万円を充てる。
また、「アビガン」について、海外と協力して臨床研究を拡大すると共に増産に取り組み、今年度中に200万人分の備蓄を目指す。同剤は、新型・再興型インフルエンザの流行時に備えて政府が200万人分を備蓄しているが、新型コロナウイルスを対象に投与する場合は70万人分に相当するため、厚労省予算として139億円を計上し、不足する130万人分を購入する。
日本などが出資する国際的な官民連携のパートナーシップである感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)など国際連携を生かしたワクチン開発・製造の動きを強化するため、161億円を充てる。
強靱な経済構造の構築では、海外依存度の高い原薬を国内製造しようとする製薬企業に、製造所の生産設備にかかる費用を半分補助するため、厚労省は30億円を計上した。