FreeStyleリブレを主とした糖尿病の自己管理が可能に、保険適用の対象患者も拡大
アボットジャパン合同会社は3月13日、糖尿病患者向けグルコースモニタリングシステム「FreeStyleリブレ」について、新たな保険適用を取得し、4月1日から適用されることを発表した。同社は、今回の新たな保険適用の取得を受け、3月31日にメディア向けWebセミナーを開催。東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授の西村理明氏が、「血糖値の測定から、糖尿病の日常の自己管理へ~最新の糖尿病管理およびFreeStyleリブレについて~」と題して講演した。
FreeStyleリブレは、皮下に挿入した「センサー」が間質液中のグルコース濃度を連続的に測定し、「Reader」でスキャンすることで、連続測定した間質液中グルコース濃度変動パターンを表示するシステム。痛みのある指先穿刺を伴うことなく、血糖値の変動(血糖トレンド)を継続的に把握することが可能だ。センサーは、最長14日間グルコースデータを提供する。
日本において、FreeStyleリブレは、2016年5月に製造販売承認を取得し、2017年1月に発売。2017年9月1日より、「血糖自己測定器加算」の項目の下で保険適用された。今回、新たに「間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの」という項目が設定されたことにより、同システムを主とした糖尿病の日常の自己管理を行うことが可能となった。保険適用の対象はこれまで、インスリン製剤、GLP-1受容体作動薬の自己注射を実施する患者だったが、今回、強化インスリン療法施行中または強化インスリン療法施行後に混合型インスリン製剤を1日2回以上使用している患者が加わることとなる。
糖尿病の治療目標、状態維持から改善へ変わっていく可能性も
東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授
西村理明氏
西村氏は、血糖トレンドを把握するメリットについて、「インスリン治療の効果を確認できる」「食事と血糖の関係がわかる」「睡眠中の血糖の変化がわかる」「血糖コントロールの質がわかる」の4点を挙げた。このような血糖変動の「見える化」により、医療従事者側は、患者の糖尿病管理状況を容易に把握でき、より細やかな指導を効率的に行うことができるという。一方、患者側では、自身の病態の理解が深まり、セルフケアの度合いが増えたり、医師と効率よくコミュニケーションがとれるようになったりするといった効果が期待できる。
今回のFreeStyleリブレの新たな保険適用によって、「より継続した、血糖モニタリング中心の糖尿病治療管理へ変わっていく可能性がある」と西村氏。血糖トレンドの把握によって、患者の状態改善も期待されることから、「糖尿病の治療目標自体が、維持から改善へ変わっていく可能性がある」と、今後の糖尿病治療の方向性について見解を述べた。
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・アボットジャパン合同会社 プレスリリース