クリアファイルをシールドに用いた非常に安価なフェイスシールド
大阪大学は4月3日、世界で初めて、クリアファイルをシールドに用いた非常に安価なフェイスシールドの開発に成功し、さらに、フレーム部分の3Dデータを無料で公開、世界中のどこでも簡単にフェイスシールドを製作できるようにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科の中島清一特任教授(常勤)、室崎修招へい教員(次世代内視鏡治療学共同研究講座)らと、株式会社シャルマンの研究グループによるものである。
新型コロナウイルス感染症の対策では、検査や治療にあたる医療従事者が適切に個人防護具を使用することが大切だ。ところが、想定以上の急速な感染拡大に伴って、世界各地でマスクやフェイスシールド、ガウンといった個人防護具の重要な構成要素が欠乏し始めており、米ニューヨーク市では「ゴミ袋をかぶって治療に当たらざるを得ない状況に陥っている」との報道もなされている。個人防護具は、これまでは緊急調達物資として、国から対象国へ緊急輸出される等の対策が取られてきたが、今回の新型コロナウイルス感染症のように、先進国、新興国を問わず、発生がグローバルかつマルチポイントであり、また拡大のスピードが経験したことのないほど急速な場合、緊急の輸出入といった従来式の調達は現実的でない。
今回、研究グループは、「現地にある、ありふれたものを材料に、近年安く性能が良くなった3Dプリンタで印刷できるようにすれば、現地で簡単に調達、製作できるようになり、地球規模での課題解決につながる」と考え、フレームメーカーのシャルマン社と連携し開発に取り組んだ。
画像はリリースより
フレーム部分の3Dデータは無料でウェブ公開
研究グループは、シャルマン社の有する豊富なフレーム造形技術・経験や、大阪大学が有する最新のバーチャル・エンジニアリング技術などを駆使することで、超安価なフェイスシールド開発に成功。フレーム部分の3Dデータは無料でウェブ上に公開する他、クリアファイルを装着してシールドを完成させる手順もビデオで公開する。
今回の研究成果より、感染が深刻なヨーロッパや、今後急速な感染の拡大が懸念されるアフリカ諸国の医療現場において、物資が欠乏した時に役立つものと期待される。また、3Dプリンタの低価格化は著しく、家庭でも簡単に製作することができる、と研究グループは述べている。
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