諸条件を満たす標準治療終了後の固形がん患者は2019年6月から保険適応
国立がん研究センターは4月1日、シスメックス株式会社と共同開発した、遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)「OncoGuide™ NCCオンコパネルシステム」について、固形がん患者における初回治療時の包括的ゲノムプロファイル検査の実現性と治療選択への有用性を評価する前向き研究として、同日に先進医療として適用されたことを発表した。
同システムは、固形がんを解析対象とした腫瘍組織の包括的ながんゲノムプロファイルを取得することで、患者のがん固有の遺伝子変異を解析し、正確な診断や抗がん剤の選定など治療方針決定に有用な情報を提供する検査として、臨床現場で用いられている。現在は、標準治療がない固形がん患者、または局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む)に対し、2019年6月から保険適用されている。一方、標準治療開始時のより早い段階からゲノムプロファイリング結果に基づく個別化医療を提供することにより、患者に対してより適切な治療の実施が期待できる可能性が示唆されている。ただし、その臨床的、医療経済的な有用性については明確になっていない。
初回治療の肺がんなど6つのがん種を対象に実施し、有用性を検討
研究では、進行期または再発の悪性腫瘍病変を有し、薬物療法の対象となる非小細胞肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、胆道がんの合計200例を対象に、標準治療開始時のがんゲノムプロファイリング検査および本結果に基づいた治療を行うことで、患者のがん固有の遺伝子変異に対応した個別化医療の提供機会拡大およびその治療効果について検討する。採取されたすべての検体は、シスメックスの子会社で、遺伝子受託解析サービスなどを提供する株式会社理研ジェネシスのイノベーションゲノムセンターで解析される。
同検査の開始時期は、国立がん研究センターでの体制が整い次第、同センターウェブサイトを通じて発信予定。研究グループは、「価値の高い検査・診断技術の提供を通じて、日本におけるがんゲノム医療の臨床実装および個別化医療の発展に貢献し、患者に最善の医療を提供できることを目指す」と述べている。
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・国立がん研究センター プレスリリース