全工程を自動化し約3.5時間で結果表示、より簡便な検査が可能に
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は3月30日、肺結核をはじめとする各種結核の原因となる結核菌を検出する「コバス6800/8800システムMTB」、非結核性抗酸菌症の中で最も頻度が高いマイコバクテリウム・アビウムおよびマイコバクテリウム・イントラセルラーを検出する「コバス6800/8800システムMAI」の2製品を4月1日より発売すると発表した。
この2製品は、リアルタイムPCR法を原理とする同社の全自動遺伝子検査装置「コバス6800システム」または「コバス8800システム」を用いて測定を行う。核酸抽出から増幅、検出までの全工程を自動で行い、約3.5時間で結果を表示する。同社の従来品と比べ、煩雑なマニュアル作業が減り、より簡便な検査が可能となったという。また、抗酸菌検査に必要なNALC-NaOH処理をせずに、喀痰をそのまま検体として使用可能。8時間の処理能力は「コバス6800システム」で384テスト、「コバス8800システム」で960テストと大幅に向上している。
さらに、コバス6800/8800システムMTBでは、従来品に比べてターゲットとする増幅部位を増やしたことで高感度化を実現し、塗抹陰性検体での培養法との一致率が向上。培養検査陽性/塗抹検査陰性例での検出率は、従来品の約60~80%に大きく向上した。感染が疑わしい例での、早期診断補助が期待できるとしている。
平成30年の新たな結核患者登録者1万5,590人、欧米の先進国と比べると高い水準
国内において、平成30年の新たな結核患者登録者数は1万5,590人(「平成30年結核登録者情報調査年報集計結果」厚生労働省)となり、減少傾向にあるが、欧米の先進国と比べるとまだ高い水準だ。感染初期は咳・痰、発熱など、風邪と同じ症状であることや、患者数の減少とともに結核への関心が薄れ、受診が遅れるケースが少なくない。早期治療で重症化を防ぐためにも、また、人への感染も防ぐためにも、早期発見が重要だ。
非結核性抗酸菌は、水や土壌などの環境中に存在する。日本での非結核性抗酸菌症の約80%は、マイコバクテリウム・アビウム、マイコバクテリウム・イントラセルラーの2種類の菌が占めている。これら2種類の菌の感染が起因する疾患をマイコバクテリウム アビウム コンプレックス(MAC)症と分類している。初期は無症状だが、突然血痰が出て、咳・倦怠感の症状が見られ、さらに症状が進展すると、発熱・体重減少・喀血・息切れが生じる。結核の症状と似ているため混同されることが多く、早期に結核症か非結核性抗酸菌症かを診断することが重要だ。
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・ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 プレスリリース