日本医師会の釜萢敏常任理事(感染症危機管理対策担当)は3月30日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症の患者と死者数が急激に増えている現状を踏まえ、「政府が緊急事態宣言を出して対応すべき」との考えを示した。また、重症患者に対応するために軽症者を自宅観察に移すこととし、国が感染経路を統一的に把握して都道府県と情報共有するほか、PCR検査の結果を毎日公表することなどを求めた。
釜萢氏は、現在の国内状況について「海外から入国した人からの感染が当分は続く。一番の問題は、患者の発生に見合った医療体制が確保できているかだ」と指摘。「新規感染者に対する病院の対応は可能だが、感染拡大すると不可能となるため、ギリギリの状態」との見方を示した。
政府による緊急事態宣言の時期に関しては、「爆発的感染が起きてから宣言を出しても手遅れ。宣言を出して対応すべき」との考えを示した。一方で、「国が宣言を出すことで様々な影響が出ることも考慮し、全体的なバランスを考えないといけない」とも述べた。
宣言の対象地域については、政府の専門家会議の構成員を務める立場から「東京都に絞るのではなく、エリアを拡大すべきとの意見が会議で出ている」とした。
釜萢氏は、「東京では院内感染が拡大している病院もあり、入院者数も増えている。必ずしも入院が必要でない人については自宅での観察を求めることが喫緊の課題」と述べ、外来についても「感染経路を把握できない患者の把握をどうするかだ。1人が何人に感染させるかを国が統一的に把握、計算し、都道府県と情報共有すべき」とした。
PCR検査の結果に対しては、「何例が陽性になったかは毎日公表されていないので、毎日報告されると情報共有が進む。感染拡大しているのか、収まりつつあるのかを地域が判断できる」とした。