インスリン グラルギン、リキシセナチドへの優越性示す
サノフィ株式会社は3月25日、「ソリクア(R)配合注ソロスター(R)」(一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組み換え)/リキシセナチド)について、「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」の効能・効果で製造販売承認を取得したことを発表した。
今回の承認は、国内第1相臨床試験、および3つの国内第3相臨床試験(LixiLan JP-O1試験、LixiLan JP-O2試験、LixiLan JP-L試験)等の成績に基づくもの。LixiLan JP-O1試験と LixiLan JP-O2試験はいずれも、経口血糖降下薬で十分な血糖コントロールが得られないインスリン未治療の2型糖尿病患者を対して、ソリクアの有効性と安全性を評価することを目的に実施した。LixiLan JP-O1試験は321人を対象にリキシセナチドと比較、投与期間は52週だった。LixiLan JP-O2試験では521人を対象にインスリン グラルギンと比較、投与期間は26週だった。
各試験の結果、ベースラインから投与26週後までのHbA1c変化量について、LixiLan JP-O1試験では、ソリクア群−1.58%、リキシセナチド群−0.51%、ソリクア群とリキシセナチド群との群間差は−1.07%(95%信頼区間:−1.251%、−0.889%、p<0.0001)であり、ソリクア群の優越性が示された。LixiLan JP-O2試験では、ソリクア群−1.40%、インスリン グラルギン群−0.76%、ソリクア群とインスリン グラルギン群との群間差は−0.63%(95%信頼区間:−0.749%、−0.514%、p<0.0001)であり、ソリクア群の優越性が示された。
LixiLan JP-L試験は、基礎インスリンと経口血糖降下薬の併用療法で十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者を対象に、ソリクアの有効性と安全性を評価することを目的に実施した。512人を対象にインスリン グラルギンと比較し、投与期間は26週だった。この試験の結果、ベースラインから投与26週後までのHbA1c変化量について、ソリクア群−1.27%、インスリン グラルギン群−0.53%、ソリクア群とインスリン グラルギン群との群間差は−0.74%(95%信頼区間:−0.865%,−0.617%、p<0.0001)であり、ソリクア群の優越性が示された。
いずれの試験においても、ソリクア群の安全性プロファイルは、全般的にインスリン グラルギンおよびリキシセナチドの各配合成分の既知の安全性プロファイルを反映していたという。
空腹時血糖をコントロールする「インスリン グラルギン」と食後血糖をコントロールする「リキシセナチド」を配合
2型糖尿病治療の基本は食事療法および運動療法であり、これらの治療で十分な血糖コントロールが得られない場合に薬物療法が開始される。糖尿病治療薬は作用機序の異なるさまざまな血糖降下薬(経口剤および注射剤)が使用されており、個々の患者の病態に応じた治療がされている。一方で、2018年度の調査では、インスリン製剤、GLP-1 受容体作動薬を使用している患者で、糖尿病学会の定める合併症予防のための目標値HbA1c 7.0%未満を達成している割合は約3割であることが報告されている。また、経口血糖降下薬でコントロール不良な日本人患者に、基礎インスリン製剤を使用した際、空腹時血糖は目標値を達成したものの、HbA1c7.0%未満を達成できていない患者(かくれ高血糖)が35.6%存在しているという報告もあることから、日本人の2型糖尿病治療では空腹時血糖だけでなく食後血糖も同時に改善することが重要と考えられる。
ソリクアは、基礎インスリン製剤(持効型溶解インスリン)の「インスリン グラルギン(ランタス注)」とGLP-1受容体作動薬の「リキシセナチド(リキスミア皮下注)」が配合された新医療用配合剤。海外では、インスリン グラルギンとリキシセナチドが3単位:1μgおよび、2単位:1μgの配合比の製剤が承認されているが、日本では、日本人の2型糖尿病の病態や、基礎インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の治療実態を考慮して、日本独自の配合比1単位:1μgとして開発された。インスリン グラルギンが主に空腹時血糖をコントロールするのに対して、リキシセナチドは主に食後血糖をコントロールする。日本人2型糖尿病患者を対象とした国内第3相臨床試験において、ソリクアは1日1回の投与で空腹時と食後いずれの血糖値も改善し、ランタス注と比較して、低血糖と体重増加のリスクを増やさずに優れたHbA1c低下を示した。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース