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ゾルゲンスマ、脊髄性筋萎縮症(SMA)への遺伝子治療用製品として承認-ノバルティス

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2020年03月25日 PM12:00

Ⅰ型SMA患者対象P1試験、13.6か月齢時の永続的な呼吸補助を必要としない生存率は全例(n=15)で100%

ノバルティス ファーマ株式会社は3月19日、(Spinal Muscular Atrophy:)に対する遺伝子治療用製品として「(R)点滴静注」(一般名:)の製造販売承認を取得したと発表した。

今回の承認は、SMA患者を対象にゾルゲンスマを投与したCL-101試験、CL-102試験、CL-303試験、CL-304試験およびLT-001試験の計5試験の結果に基づくもの。CL-101試験(Ⅰ型SMA患者を対象とした海外第1相試験)において、13.6か月齢時の永続的な呼吸補助を必要としない生存率は全例(n=15)で100%であり、SMAの自然経過に関する研究であるPediatric Neuromuscular Clinical Research(PNCR)における集団(未治療)と比較して、永続的な呼吸補助を必要としない生存率を改善した。また、CL-101試験の投与後24か月時において、承認用量群(n=12)の11例は「3秒以上支えなしに頸定を保持する」、「支えありで座る」および「5秒以上支えなしで座る」、10例は「10秒以上支えなしで座る」、9例は「30秒以上支えなしで座る」、「寝返りをする」、2例は「補助ありで立つ」、「自力で立つ」、「補助ありで歩行する」および「自力で歩行する」ことが可能となった。

また、82例(日本人2例を含む)中35例(42.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、AST増加9例(11.0%)、ALT増加、トランスアミナーゼ上昇および嘔吐が各6例(7.3%)だった(2019年3月8日データカットオフ)。重大な副作用として肝機能障害(19.5%)、肝不全(頻度不明)、血小板減少症(6.1%)が報告されている。

SMNタンパク質をコードする遺伝子組み込みAAV9を利用した遺伝子治療用ベクター製品

ゾルゲンスマは、SMAの原因遺伝子であるヒト運動神経細胞生存(Survival Motor Neuron:SMN)タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだ、野生型のアデノ随伴ウイルス9型(AAV9)を利用した遺伝子治療用ベクター製品。静脈内に投与された同品は、SMAの根本原因であるSMN1遺伝子の機能欠損を補って、運動ニューロンでSMNタンパク質を発現させ、運動ニューロンの変性・消失を防ぎ、神経および筋肉の機能を高め、筋萎縮を防ぐことで、SMA患者の生命予後および運動機能を改善することが期待される。導入したSMN遺伝子は患者のゲノムDNAに組み込まれることなく、細胞の核内にエピソームとして留まり、運動ニューロンのような非分裂細胞に長期間安定して存在するように設計されている。

SMAは、脊髄前角細胞の変性・消失によって進行性に筋力低下と筋萎縮を呈する下位運動ニューロン病。常染色体劣性遺伝性の希少疾患であり、SMAの特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は、平成30年度末に全国で858人、0~9歳は30人と報告されている。また、遺伝性疾患による乳幼児の主な死亡原因であり、日本における指定難病の1つだ。SMAは、発症年齢と最高到達運動機能によってI~IV型の4タイプに分類される(IV型は成人発症、出生前発症型で重篤なものは0型に分類する場合もある)。I型(乳児型)SMAは、重症かつ高頻度にみられ、0~6か月齢で発症し、患者の90%以上が20か月齢前に死亡または人工呼吸器による永続的な呼吸管理が必要な状態になる。また、虚弱や低血圧、成長不全を伴うため、寝たきりとなり動くことができなくなる。II、IIIまたはIV型SMAにおいても、病状の進行に伴い歩行機能の喪失および筋力の低下により、患者の社会生活が困難となり、QOLが著しく低下する。

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