製薬協が10日時点で会員各社の取り組み状況をまとめたところ、感染研に化合物原薬を提供していると情報開示したのは、アステラス製薬、EAファーマ、エーザイ、キッセイ薬品、サンファーマ、塩野義製薬、第一三共、大日本住友製薬、田辺三菱製薬、中外製薬、富士フイルム富山化学、マルホの12社。
EAファーマは糖尿病治療薬「ナテグリニド」のサンプル、サンファーマは原薬4種、塩野義製薬は抗ウイルス薬、抗寄生虫・抗原虫・抗真菌薬、ホルモン剤を含む7化合物を提供した。また、中外製薬は抗ウイルス剤原薬2種類、マルホは「ラノコラゾール」「アメナメビル」を提供した。
富士フイルム富山化学は、感染研に抗インフルエンザ薬「アビガン錠」の原末を提供する一方、厚労省の指示で新型コロナウイルス患者へのアビガンの適応外使用についても協力を開始した。
アステラスと第一三共は、感染研以外の他団体とも新型コロナウイルス感染症治療薬やワクチンの研究開発で協力を行っている。アステラスは、欧州製薬団体連合会の画期的新薬イニシアチブ(IMI)による「新型ウイルス治療薬の開発を目指した活動」への協力呼びかけに応じ、対応相談を進めている。
第一三共は、日本医療研究開発機構(AMED)が2月から開始した「新型コロナウイルス制圧に向けての基盤研究」に参画し、新型コロナウイルスに対する遺伝子ワクチン開発の研究を分担して行っている。
その他、大日本住友製薬は、新型肺炎の2次感染症治療薬として推奨されている「メペム」(日本販売名:メロペン)が中国での需要が拡大していることから、安定供給体制の強化に乗り出した。
武田薬品は新型コロナウイルスに感染したハイリスク患者に対する高免疫グロブリンの開発に向け、国内では免疫グロブリンの製造販売を行う関連会社「日本製薬」と協力して進めていくとしている。
製薬協では、新型コロナウイルス治療・予防研究開発を支援するため、ドイツのGISAIDに5万ユーロ(約600万円)を拠出した。今回の新型コロナウイルス感染対策において、会員企業全体で1250万元(約2億円)を超える義援金の拠出が行われているとしている。