日本医師会は18日、新型コロナウイルス感染症に罹患しているかどうかを判断するPCR検査について、医師が検査が必要と判断したにも関わらず、保健所に断られた「不適切事例」が全国で290件に上ることを公表した。大阪府47件、神奈川県41件、東京都36件の順に多く、肺炎患者が検査を断られた事例などが確認された。不適切事例が発生した背景について、釜萢敏常任理事(感染症危機管理対策担当)は「各地域で全例を検査する余力がなかったのが一番の背景ではないか」との考えを示した。
今回の調査は、必要な検査を各地域で円滑に行えるようにするために役立てることが目的。医師がPCR検査につなげることが必要な患者と判断したものの、実際には検査につながらなかったケースを「不適切」と定義した。
2月26日~3月16日正午までに、26の都道府県医師会から報告された不適切事例は計290件。内訳を見ると、大阪府47件、神奈川県41件、東京都36件、兵庫県27件、埼玉県20件の順に多かった。
釜萢氏は、不適切事例の詳細については「十分な検討が必要であり、検討作業に入っている」としつつ、肺炎症状が見られたが「もう少し経過を見てほしい」と検査を断られた事例などが確認されたとした。
これらの不適切事例が起きた背景について、釜萢氏は「各地域で全例をPCR検査する余力がなかったのが一番ではないか」との考えを示した。一方で、「改善する方向に向かっていると思う。国はPCR検査と同等の判断結果ができる検査機器を積極的に認める方針なので、適切な検査を行うべき症例についてはきちんと選んだ上で行われる方向になる」とも述べた。
日医は不適切事例の収集を続け、最終結果としてまとめる考え。ただ、自治体に結果を報告して適切な対応を求めるかどうかについては「方向性はまだ決まっていない」とした。