基本的な知識かつ正確な情報が一般に浸透していないことが浮き彫りに
イルミナ株式会社は3月4日、ゲノムやゲノミクスに関する認識について日本人を対象にオンライン調査を行った結果を発表した。この調査は、2019年11月7日~11日に日本の成人1,002人(男女各501人)を対象に実施されたもの。
「ゲノムとは何ですか?」に対し、「遺伝子の別の言葉」25%、「生き物のすべての遺伝子」12%、「DNAを格好よく言った言葉」12%という回答があった一方、最も多かったのは「わからない」38%であった。ゲノムとは、遺伝情報のことであるが、基本的かつ正確な情報が一般に浸透していない実態が浮き彫りとなった。
DNA検査に対する理解については、「よく理解している」はわずか4%で、「やや理解している」33%、「あまり理解していない」28%、「よく理解していない」20%、「どちらでもない」16%の順だった。ゲノム検査に対する理解についても、同様の傾向だった。
ゲノミクスが疾患の治療や個別化医療に貢献するという期待感も
「世界中で、希少遺伝性疾患に苦しむ人は何人くらいいると思いますか?」という設問については、「わからない」57%、「5,000万人未満」11%、「5,000万人から1億5,000万人」13%の3回答が上位だった。現実には、世界中で3 億人以上が希少疾患に苦しんでおり、そのうち72%は遺伝性。現実と認識のずれが大きいことが判明した。
「配偶者、子ども、両親など身近な人が診断不可能な病状になった時どのように思いますか」については、「絶望する」31%、「どうすることもできない」24%、「覚悟を決める」17%、といった悲観的な回答が多く、「戦う気になる」と答えたのはわずか8%だった。
さらに、「ゲノミクスについて、次のどれが正しいと思いますか?」という問いには、約半数(48%)が「わからない」と回答。以下、「遺伝子の構造と機能に関する研究」23%、「遺伝に関する研究」13%、「遺伝学の専門用語」8%、「細胞の構造と機能に関する研究」8%、の順に多かった。
「ゲノミクスの未来として最も期待できると思われるのは次のどの応用ですか?」については、「一般的な疾患や複雑な疾患に寄与する遺伝的要因の特定」18%、「希少遺伝性疾患の診断」13%、「個別化医療の発展」8%と、期待を寄せる回答があった一方で、「わからない」という回答も37%あった。
調査結果を踏まえ、同社の代表取締役スコット・トーマス氏は、「今回の調査で、多くの人がゲノムやゲノミクスに関する知識を十分に持っていないことがわかった。がんに対する個別化医療やリキッドバイオプシーのような血液1滴でがんを診断することができる最新医療から、希少遺伝性疾患の治療まで、ゲノム解析はさまざまな医療分野で注目を集めている。我々はゲノムやゲノミクスの正しい知識を普及させることにより、ゲノム解析が誰にとってもより身近なものになるようにしていきたい」と、述べている。
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