第105回薬剤師国試には約1万4000人が受験し、薬ゼミによると6年制新卒の受験者が約9100人を占めるという。薬ゼミ自己採点システムから1万2107人の入力情報をもとに2日時点で集計を行ったところ、平均得点は231.9点と第104回の245.3点、第103回の237.1点に比べ、低くなっていた。
合格点は相対基準により決められるが、第104回の合格ラインとなる全問題で65%以上得点していた新卒生は全体の75%程度の6565人となり、集計段階だが第104回の新卒合格者数8129人と比較しても少ない状況だ。第103回で合格とした213点を基準にしてみると、新卒が86%、既卒を含めると80%の達成率にある。第104回から導入された「禁忌肢」と思われる選択肢を選んだ受験生はほとんどいない模様だ。
必須問題は、科目によって平易な範囲もあったものの、全体としては難易度が高く、近年では最も難しい問題となった。平均得点率は80.0%と第104回から5.9ポイント低下し、第100回以降では最低の数字となった。中でも物理は、前回よりも約20ポイント低い56.4%と正答率60%を割り込んだ。
既出問題の類似問題でも、そのまま出題されるのではなく、周辺知識を学修しないと解けない問題となっていた。構造式や図、グラフなどを用いた問題が多く出題された。
理論問題は例年通り難しく、平均得点率は60.5%と第104回の59.4%とほぼ変わらなかった。特に病態・薬物治療は非常に難易度が高く、前回の62.7%から51.5%と大幅に落ち込んだ。
物理と化学も昨年同様に難しく、物理は35.8%と10ポイント以上も正答率を下げるなど苦戦し、「物理・化学・生物」では47.8%と50%を下回った。化学・生物・衛生の3連問や薬理/病態の2連問が出題された。
実践問題でも平均得点率64.3%と第104回から6.2ポイント低下するなど、難易度が大きく上昇していた。特に実践の複合問題「実務」の範囲では、臨床現場の問題が多く出題された。服薬アドヒアランスに関する内容では、法規2問/実務2問の4連問が出題され、共通リード文が長く患者背景や処方、検査値などを理解するための読解力が求められる難問も見られた。
第106回から適用される「新出題基準」や「改訂コアカリ」「実務実習ガイドライン」を意識した科目の壁を超えた連問など、前回と同様に総合的な力や考える力を必要とする問題が目立った。
木暮氏は「実務実習で体験する『代表的な8疾患』についての問題も多く出題された。病院での薬剤師業務の役割に関する問題だけではなく、地域包括ケアシステムの中で薬剤師の職能を発揮するための知識や判断力が求められていることがうかがえる内容だった」と分析している。