厚生労働省は、サノフィが製造販売する「乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)」(販売名:アクトヒブ)の供給遅延が解消されることを医療機関に知らせるよう要請する通知を都道府県に発出した。添付溶剤を充填したシリンジの針に錆が見られたことから、同社が原因を調査中として供給を見合わせていたが、「シリンジ容器等の製造に問題は見られなかった」と結論づけたことによるもの。今月は57万本以上供給する見込みだが、厚労省は、同剤を使用する場合は錆が付着していないかを目視で注意深く確認することを引き続き求めた。
アクトヒブをめぐっては、添付溶剤が充填されたシリンジ容器の針に錆が確認されたことを医療機関がサノフィに報告。この事案発生を受け、同社がフランスの製造元、シリンジのサプライヤーを時間をかけて調査していたことから、製品の供給が滞り、取引卸からの受注を一時的に見合わせていた。
調査の結果、「シリンジ容器の製造等に問題は見られず、今回の事例は複数の要因が重なったことにより偶発的に発生したもの」と結論づけた。これを踏まえ、同社は出荷前の抜き取り検査を強化する考えを示している。
厚労省は、添付溶剤をバイアル等に切り替えるなど、抜本的解決に向けた対応が取られるまで、同剤を使用する場合は、針の先端部や針とシリンジの結合部分に茶や赤褐色の付着物がないか目視で注意深く確認し、錆のある添付溶剤の使用を避けるよう求めた。
一方、錆が確認された針による健康への影響については「局所的な炎症性反応が生じる可能性は否定できないが、全身性または重篤な健康影響が生じる可能性は低い」とし、健康被害も報告されていないとした。
今後の供給については、3月に57万1000本、4月に30万9000本を予定している。1~4月の総供給量は123万5000本と昨年同期の供給量を6000本上回る見込み。