厚生労働省は20日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「イベント開催に関する国民へのメッセージ」を公表した。感染を防ぐため、主催者にイベント開催の必要性を改めて検討するよう求める一方、自粛要請を求めるものではないとしたが、今後の感染状況に応じて方針を見直すことにも言及した。同日記者会見した加藤勝信厚労相は、「地域の感染状況を判断しながら主催者が開催を検討してほしい」と述べた。
厚労省のメッセージでは、「最新の感染状況を踏まえると、屋内などで互いの距離が十分に取れていない状況で一定時間いることが感染リスクを高める」とし、イベント等の主催者に対して、感染の広がりや会場の状況などを踏まえ、開催の必要性を改めて検討するよう要請した。
ただ、「イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではない」との見解を示した。イベント等を開催する場合、感染機会を減らすための工夫として、参加者への手洗いの推奨、消毒薬の設置、風邪のような症状のある人には参加しないよう依頼するなど、感染拡大防止に向けた対策を準備するよう求めた。
国民に対しては、かぜのような症状がある場合は学校や仕事を休み、外出を控えると共に、手洗いや咳エチケットの徹底など、感染拡大防止につながる行動への協力を呼びかけた。特に高齢者や基礎疾患を持つ人に対しては、人が多い場所を可能な限り避けるよう求めた。
一方、今後の感染拡大や重症度に応じて、この方針を見直す考えも示した。また、東京オリンピック・パラリンピック開催に対する影響についても、加藤氏は「まだ先の話なので、そこをターゲットにして示したものではない」と述べるにとどめた。