側弯症の学校検診、大人数への視診や触診にかかる負担が課題
日本臓器製薬株式会社は2月20日、「3Dバックスキャナー(TM)」(一般医療機器)の発売を予定していることを、株式会社スペースビジョン、株式会社日本医療機器開発機構(JOMDD)と共同で発表した。
画像はリリースより
脊柱側弯症は小学校高学年から中学校時代に好発し、13~14歳女児の有病率は2.5%と報告されている。側弯症による脊柱の変形は、腰痛、背部痛、および呼吸機能障害などを来たすことがあるため、早期に発見し、進行を抑えることが重要であるとされている。学校保健安全法上、側弯症の検診が小・中・高等学校と高等専門学校の全学年で必要と定められている。しかし、学校医が限られた時間の中で大人数の検査をすることは難しいのが現状だ。また、学校内で視診や触診を実施することは、学校医および児童・生徒にとって負担が大きい。海外においても、2013年に米国立衛生研究所のサポートで行われたBracing in Adolescent Idiopathic Scoliosis Trial (BrAIST) study3により、側弯症の軽度もしくは中程度の患者に対する装具治療の有効性の高さが証明され、側弯症の早期発見が再認識されるようになった。
LEDで被検者背部を3D撮影、モアレ様画像へ変換可能
「3Dバックスキャナー」は、LED光源を使用し、被検者背部を3次元(3D)撮影し、背部の対称性を視覚的に描出するために、モアレ様画像へ変換することができる。また、専用パソコン上にある撮影ボタンを押すだけで撮影ができ、取得した画像情報は撮影場所や個人IDと紐付けることも可能。3D画像として取り込まれたデータは、モアレ様画像の他に、3D情報としても確認することができる。また、専用のキャリーケースに収納することで、学校健診現場で想定される持ち運びも可能だ。
3Dバックスキャナーは、学校健診を実施している東京都予防医学協会からの相談を受け、慶應義塾大学医学部整形外科学教室 渡邉航太准教授、同大学理工学部 青木義満教授、慶應義塾大学・名古屋工業大学発ベンチャーであるスペースビジョンが共同開発した製品。2015年からは(公社)日本医師会による「医師主導による医療機器開発の開発・事業化支援業務」の一環として支援も受け、日本臓器製薬を販売業者として2月27日に発売予定となった。
スペースビジョン、JOMDD、および日本臓器製薬は、「今後も側弯症の検査や診断に関連する製品の開発を継続してまいります」と、述べている。
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