八尾市では、市の委託事業として後発品の適正使用策を検討してきた。昨年度に市内11医療機関の後発品採用リストを作成し、市のホームページで公表。今年度は、同リストに新たにオーソライズドジェネリックやバイオ後続品の情報を追加するなど改良した。紙媒体としても市内の全医療機関・薬局に配布するほか、医師、歯科医師、薬剤師へのフォーミュラリーの啓発事業として、実例や策定の流れを紹介したチラシを作成し、今年度内に配布する予定である。
市域の基幹病院である八尾市立病院(380床)で院内フォーミュラリーを検討した結果も報告された。全ての医師を対象とした意識調査を行った上で、院内のフォーミュラリー策定手順書を承認し、現在3薬剤(PPI注射剤、PPI経口剤、抗インフルエンザウイルス薬)のフォーミュラリー案を検討中で、3月までに採用予定であることが示された。
今後、院内フォーミュラリーの策定をベースに、将来的な地域フォーミュラリーにつなげていきたい考えで、大阪府公立病院協議会代表委員として出席した八尾市立病院の星田四朗総長は「公立病院は院内フォーミュラリーも現実的には進めることは難しい。やっと素地ができ、徐々に言葉が普及しつつある。八尾市が少し先頭を走ることができればいいと思っており、最終的には、地域フォーミュラリーにつなげていくことを模索している」と構想を披露した。
また、岸和田市では、お薬手帳の活用に着目した新規モデル事業を展開。薬局で後発品を調剤後、飲み心地など服薬状況の確認を行い、患者自身が使用状況や満足度をお薬手帳に記入し、その情報を医師や歯科医師に伝えるという患者から医師への伝達ツールとしての活用を促した。
中間結果では、同事業に同意して変更した患者数は469人。そのうち先発品に変更を求めた患者は16人にとどまった。薬価における年間切り替え効果額試算は約630万円となった。
18年度にモデル地区として薬局薬剤師が後発品の丁寧な説明を行い、服薬状況を1週間後にフォローアップする事業を展開した門真市と泉南地区では、先発から切り替わった「後発品」薬効別実績リストを作成した。
リストには患者が納得した理由を複数併記。後発品の使用に踏み切れない患者に向けた資材としても活用していく。国保、後期高齢者の調剤レセプトデータから使用実績リストを府下11医療圏別の「ジェネリック医薬品等使用実績リスト」を今年度内に作成する予定である。