同委員会が、病院や地域で薬剤師が実施できる広義の調剤業務として周知や明確化を求めたのは、▽調剤した薬剤の服薬介助▽麻薬、パーキンソン病薬、湿布など外用薬の貼付、浣腸薬や坐薬の挿入、軟膏塗布▽インスリン皮下注、抗リウマチ製剤など在宅自己注射薬の実施介助▽血糖自己測定の毛細血管への穿刺や計測、持続血糖測定器等の装着や測定▽腹部など注射部位の硬結を確認する行為▽自動血圧測定器を用いた血圧測定▽毛細血管の酸素飽和度測定――の7項目。
藤村保夫委員長(舞鶴共済病院)は、「これらの業務は医行為ではなく、薬学的評価を実施するための行為と捉えられるが、十分に周知、実践されていないのが現状」と指摘。日病薬が主導して取り組むよう要望した。その上で、「調剤した薬剤の適正使用推進のための患者介入であり、広義の調剤業務といっても過言ではない」と主張し、国が取り組む医師のタスクシフト推進にもつながると呼びかけた。
この提案に対して、木平氏は「日病薬は、医師のタスクシフト推進に関する国の検討会で、医師と協働したプロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)の推進などに取り組むことを提案している」と説明。
「今後の検討会の議論で各職種が何をすべきかが次第に分かってくる。その方向性を見ながら、今回の提案を整理させてもらいたい」と応じた。
この日の会議では、病院薬剤師の地域偏在や不足の緩和に向けて日病薬の取り組みを求める声もあった。木平氏は「明快な対策はないが、何もせずに手をこまねいているばかりでは解消しない。地域偏在を解消する手立てとしてふるさと実習をしっかり実践してほしい。また、地域医療介護総合確保基金を医師の地域枠や看護師の確保に使っている地域があることから、それを薬剤師にも適用してもらいたい」と語った。
また、「各地域で地元での就職を条件に奨学金を支給する制度を構築したり、公的病院が薬剤師を確保して地域に派遣するシステムを構築したりする方法もある」と提案し、次年度の日病薬事業計画にも地域偏在への対応を盛り込む考えを示した。