GSK、アジュバントの基盤技術を提供
英グラクソ・スミスクライン(GSK)は2月3日、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)と新型コロナウイルス(2019-nCoV)のワクチン開発に向けた国際的取組みの支援を目的として、新たな協働を行うことを発表した。GSKは、新型コロナウイルスに有効なワクチン開発を加速させるため、パンデミックワクチンで確立されたアジュバントの基盤技術を提供する予定だ。
アジュバントは免疫応答を高めるために一部のワクチンに添加するもので、それによって、感染症に対しワクチン単体よりも、強力かつ長期に持続する免疫を作り出すことができる。アジュバントの使用は、パンデミックの状況においては特に重要となる。1回の接種に必要な抗原量を抑えられるため、ワクチンの生産数量を増やすことができ、より多くの人々への提供が期待できる。
今回、CEPIは、GSKのアジュバント技術を組み入れたワクチン基盤の試験実施に対して関心を示し、CEPIが資金提供する機関とGSKとの連携の橋渡しを行う。この取り組みにおける最初の契約はGSKとオーストラリアのクイーンズランド大学の間で取り交わされた。クイーンズランド大学は、2019年1月からCEPIと提携しており、複数のウイルス病原体を標的としたワクチンの迅速な製造を可能とする「Molecular Clamp」というワクチン基盤の開発を進めてきた。CEPIは、資金供与の対象を新型コロナウイルス用ワクチン候補の研究へ拡大しており、GSKのアジュバント技術の活用は、この初期段階の研究を後押しすることとなる。
ワクチン開発に関連するCEPIの研究プログラムを補完
今回の発表は、CEPIがすでに発表している、新型コロナウイルスワクチン開発に関連するCEPIの4つの研究プログラムを補完するものだ。これらのプログラムにおいて、CEPIはCureVac、Inovio、クイーンズランド大学、Moderna Inc.、そして米国立アレルギー・感染症研究所と提携している。これらは、新型コロナウイルスに関する科学的知見を向上させ、ワクチンを開発するためのものだ。研究プログラムでは、新型コロナウイルスワクチン候補をできるだけ早く臨床試験まで進めていくことを目指し、CEPIがすでに支援している迅速な応答基盤を活用していくという。さらにCEPIは、新型コロナウイルスに使用可能となる確かなワクチン技術を迅速に開発、製造するための新たな提案の募集を開始し、2月まで提案を受け付けている。
コロナウイルスは、中東呼吸器症候群(MERS-CoV)や重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV)を含む呼吸器疾患を引き起こす恐れのあるウイルス科の一種。コロナウイルスは動物と人の間で伝播し、これまでにヒトで検出されていない株に進化する可能性がある。2020年1月7日、中国湖北省の武漢で新型コロナウイルス(2019-nCoV)が肺炎の原因として特定された。その後、多くの国で新たな症例が確認されており、現時点では、いずれも中国の武漢に遡ることができている。
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・グラクソ・スミスクライン株式会社 プレスリリース