
調査は、患者一人ひとりの状況に的確に対応することを目的としたチーム医療の推進が進む中、薬局による医療機関や地域の多職種との情報共有の現状を把握するため、2018年末に全国の保険薬局1927軒を対象に実施したもの。
その結果、患者の病名を入手する経路としては、患者からが90.3%と最も多く、次いでお薬手帳が55.9%、処方箋が48.5%の順だった。一方で、病院薬剤師からは8.1%にとどまった。患者のアレルギー・副作用歴の入手経路についても、患者が94.0%、お薬手帳が79.0%、情報提供用紙が21.8%と同様の結果で、病院薬剤師からは4.6%と低かった。
小枝氏は「調査前はもっと多いと予想していたが、病院薬剤師から情報が入手できていない状況が結果から見える」と分析した。
レジメンを含めた患者の治療スケジュールについては「把握できていない」が33.6%で、「患者から」の56.6%に次ぐ多さとなった。病院薬剤師の記録・薬剤サマリーも同様に、「把握できていない」との回答が79.3%と最多を占めたことなどから、小枝氏は「やはり病院と薬局の連携ができていない」と指摘した。
また、患者の診療情報を複数の医療機関で共有する「地域医療連携システム(EHR)」に参加していない薬局は82%に上った一方、参加している薬局は8%にとどまった。都道府県別では、福島県が50%近くに達し、島根県40%超、滋賀県30%超の順となったものの、その他の都道府県は30%を下回った。
連携している地域の職種を見たところ、ケアマネジャーが47.8%、開業医が37.9%、訪問看護師が31.3%の順となり、病院薬剤師は20%と病院医師とヘルパーの各27.1%を下回った。
連携に向けた取り組みとしては、「地域の薬剤師会の勉強会・交流会」が84.8%、「地域多職種の勉強会」が55.8%、「病院多職種の勉強会」が44.7%となり、「病院の薬剤部門との合同勉強会」は36.0%だった。
さらに、情報連携業務の状況として、「調剤を伴わない薬等の相談」が75.0%、「残薬整理対応」が56.5%、「電話等による調剤後服薬状況の確認」が32.4%の順だった。