安川氏は、薬学教育6年制の開始からおよそ10年が経過し、「地域包括ケアシステムの一員としての役割も出てきている」とした上で、「医療機関におけるチーム医療の推進、患者のための薬局ビジョンにおけるかかりつけ薬剤師、薬局の取り組み、改正薬機法も含め、薬剤師に求められている役割が変化している」と説明した。
そうした状況を踏まえて、「今後の薬剤師の養成や資質向上などに関する課題について、検討の場を設けて議論したい」との意向を表明。
「その中で薬剤師の需給に関することや資質向上に関すること、今後の薬剤師の業務のあり方について検討していく」との方向性を示した。
安川氏は、「薬局や病院薬剤師のあるべき姿だけでなく、6年制薬剤師に求められることを厚労省としても検討していければと考えている。できる限り早く、初回の検討を開始したい」と述べた。
文科省高等教育局医学教育課の福島哉史薬学教育専門官は、改訂コアカリの見直しに向け、19年度から3カ年の委託事業を実施しており、カリキュラムの実施状況や課題などを整理した上で、コアカリ改訂に向けた検討を進めていきたい考えを示した。
■薬学部新設を批判-日薬・山本会長
懇談会では、日本薬剤師会の山本信夫会長が、大学側が申請すればよほどのことがない限り薬学部が新設できてしまう現行の設置基準を問題視。6年間での国家試験ストレート合格率が6割程度にとどまっている状況であるにも関わらず、薬学部の新設を認める文科省を「他人事のよう」などと非難し、文科省主導による設置基準の見直しを迫った。
これに対し、文科省高等教育局の丸山浩医学教育課長は、薬学部の定員を抑制するためには、厚労省の薬剤師需給に関する検討を踏まえ、「これ以上設置を認めないという強いメッセージが必要」と強調。医師と歯科医師についても、こうした手順で政府全体の抑制方針が定まったことを説明し、理解を求めた。