日本国内で流通している医療用医薬品の原薬は多くを中国から調達しており、安定供給に対する不安も大きい。厚労省は4日、日薬連に対して中国産原薬などに関する在庫状況や今後の製造見通しなど確認を求める事務連絡を出していた。
日薬連は事務連絡を受け、供給不安時に医薬品の供給調整を行う同スキームを策定。品質委員会委員長をリーダーとするタスクフォースを立ち上げ、医療用医薬品の供給不安が発生した場合に供給調整を行うための手順書を作成した。
手順書では、速やかな対応体制を構築するため、緊急時には供給不安が発生した製造販売業者をリーダーとする供給調整チームを招集し、対応策を検討していく。各製造販売業者には、自社製品の供給不安が生じた場合に供給調整チームのリーダーとなる者や代替薬の検討を行う者、自社・他社製品で供給不安があった場合に増産・在庫調整の検討を行う者などを予め定めておくことが明記された。
供給不安発生時には、製造販売業者から経済課に連絡後、日薬連が供給調整チームの招集を決定する。製造販売業者から提出された該当医薬品の同一成分薬や代替薬メーカーのリストに基づき、関連する製造販売業者で構成された供給調整チームを結成する。
供給調整チームでは、該当する医薬品や同一成分薬、代替薬の在庫量から出荷調整や増産の検討を行う。卸在庫の調整などが必要になる場合は、経済課を通じて日本医薬品卸売業連合会に協力を要請する。
これらの対応でも十分量の安定供給が難しい場合は、経済課から医療機関に医薬品の適正使用を促し、治療の中断や手術の延期など重大事案の発生が懸念される場合は厚労省に連絡するよう求める事務連絡を発出する。経済課が医療機関から入手した供給調整に必要な情報は供給調整チームで共有した後、対応可能な製造販売業者を決め、卸との連携を通じて医療機関への供給調整を実施する。
日薬連は、今回のスキームを実行するに当たって、傘下の加盟団体に医療用医薬品の安定供給に関する自己点検を要請した。各社独自の判断基準に基づき、安定供給の対応策が行われている現状から、原薬の安定調達の確保や該当する原薬が使用されている医薬品の医療上の必要性を判断する上で自己点検が可能なチェックリストを作成した。
定期的な自己点検の実施から、医療上の必要性が高いと判断される医薬品について、欠品リスクの早期発見につなげる。