喫煙だけでなく、飲酒習慣もあった場合のリスクについて調査
米国立衛生研究所(以下、NIH)は1月21日、妊娠初期(妊娠3か月ごろまで)に喫煙/飲酒習慣があった母親は、その習慣がなかった母親に比べて、子どもが乳児突然死症候群(以下、SIDS)で死亡するリスクが12倍高まるという研究成果を公表した。この研究は、米Avera Health Center for Pediatric & Community ResearchのAmy J. Elliott博士らの研究グループによるもの。研究成果は、The Lancetのオンライン版「EclinicalMedicine」に掲載されている。
※イメージ
1歳以下の乳児が突然予期せず死に至るSIDS。これまで数多くの研究によって、妊娠中の喫煙がSIDSの因子となっていることが指摘されている。また、過度な飲酒がSIDSのリスクを高めることも報告されている。これらを踏まえ、研究グループは、飲酒と喫煙の両方の因子があるケースでSIDSのリスクがどれほど高まるかを検証した。
妊娠3か月まで喫煙/飲酒両方で、いずれもない妊婦に比べて死亡リスクは12倍
研究グループは、米国と南アフリカらの研究者から成る「Prenatal Alcohol in SIDS and Stillbirth Network」を立ち上げた。このネットワークを活用し、2007~2015年まで、南アフリカのケープタウン、米国のサウス・ダコタ州、ノース・ダコタ州など5つの地域(インディアン居留地2つを含む)の妊婦約1万2,000人を追跡調査した。米国の5地域は、出生前の飲酒とSIDSが高確率であり、SIDSにおける人種や経済格差との関連について未だ調査されていないことから選択された。
集計の結果、約94%の乳児で出生とその後の経過が判明し、そのうち28人はSIDSで、38人は他の要因で死亡したことが確認された。また、妊娠3か月までに喫煙と飲酒両方の習慣があった妊婦では、SIDSリスクが約12倍、喫煙のみしていたケースで約5倍、飲酒のみしていたケースで約4倍、いずれの習慣もなかった妊婦と比べて高いことが明らかになった。
これらの結果から、妊娠中の喫煙と飲酒両方の習慣が乳児のSIDSリスクをより高めていることが確認された。これは、「妊娠中は飲酒・喫煙を控えるように」という国やWHOの方針を裏付けるものである。調査に協力したNIHは、「妊娠初期の飲酒と喫煙に関する実態をより大規模にできるだけ早く調査し、これから母親になる女性に対しその危険性を公的に発信すべきである」としている。