感染の流行に対処するために迅速共有、論文発表には不利にならない
日本医療研究開発機構(AMED)は2月3日、新型コロナウイルスの流行に対処するため、新型コロナウイルスに関連する研究成果とデータを広く迅速に共有する声明(令和2年1月31日)に署名したと発表した。
優れた研究データや研究成果は、論文が学術誌で出版されるまで、それらを公開しないことが規範となっている。感染症の流行などに対処するには、関連する研究から得られる質の高いデータや成果を遅滞なく世界保健機関(WHO)や公衆衛生関係者など誰もが利用出来るように共有することが大変重要だ。
AMEDはこれまでに、感染症の流行に対処するために研究データや結果を共有すること、またそのことが論文発表に不利にならないように取り組むことを、2016年のジカ熱流行の際、また2018年のエボラ出血熱流行の際に、世界の研究支援機関や学術誌出版社とともに声明として発表した。今般、中華人民共和国での新型コロナウイルス感染症の流行を受け、新型コロナウイルスに関しても同様の取り組みを行う声明に署名した。
「新型コロナウイルス関連データは投稿時点でWHOに共有」など
声明の主な内容は下記の通り。
・中華人民共和国での新型コロナウイルス感染症流行が公衆衛生への脅威となりつつあるなか、研究者、学術誌、研究支援機関の協力によって、新型コロナウイルス感染症流行に関する研究成果とデータが広く迅速に共有されることが重要である。
・学術誌は、新型コロナウイルスに関係する研究内容についてアクセスをフリーとし、研究論文の提出前データや前刷りの共有は、本署名に参加した学術誌での出版に先駆けた公表とみなさない。
・新型コロナウイルスに関する研究成果は、データの利用可能性を明確にした上で、投稿時または投稿前にプレプリントサーバー等で公開する。
・新型コロナウイルスに関係する研究内容は論文の投稿時点で、著者の許可の下、世界保健機関(WHO)に速やかに共有する。
・新型コロナウイルスに関係のある研究については、できる限り迅速かつ幅広く、質の高い中間及び最終データを共有する。
声明に署名した研究支援機関や学術誌出版社は、AMED以外に、英国医学院、米国疾病予防管理センター(CDC)、The British Medical Journal(BMJ)、The JAMA Network、The Lancet、New England Journal of Medicine(NEJM)など多数。詳細は、下記関連リンクを参照されたい。
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