中国の武漢市を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大している問題で、政府は28日、対策強化のために同ウイルスを感染症法の「指定感染症」に指定する政令を閣議決定した。指定感染症に位置づけることで、感染が疑われる人を入院させたり、就業制限することなどが可能になる。2月7日から施行される。
指定感染症には、「国民の生命と健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症」が指定され、第1類~第3類感染症と同等の措置を実施できる。
具体的には、都道府県知事が必要と判断した場合、感染が疑われる人に対する入院措置と医療費の公費負担のほか、就業制限などが可能となる。
また、政府は同ウイルスを検疫法の「検疫感染症」に指定する政令も同日に閣議決定し、入国者への質問、検査、診察、消毒を実施できるようになった。両政令は2月7日から施行されるが、施行までの間も入院措置に対する公費負担は適用される。
一方、ウイルス対策を強化するため、厚労省は同日に加藤勝信厚労相を本部長とする対策推進本部を立ち上げ、初会議を開いた。あいさつした加藤氏は、国民からの問い合わせに対応するコールセンターを省内に設けるなどの対策を発表した上で、「本部が中心となり、厚労省一丸で水際対策と国内の感染拡大防止に全力で取り組みたい」との考えを示した。
また、新型コロナウイルスの感染状況をめぐっては28日、日本人が初めて感染したことも公表した。患者は奈良県在住のバス運転手の60代男性で、武漢市からのツアー客を今月8日から複数回にわたってバスに乗せ東京・大阪間を走行していた。現在は奈良県の病院に入院中という。