脳卒中発症率の日本全国や都道府県単位の推移は明らかにされておらず
岩手医科大学は1月29日、岩手県地域脳卒中登録データを解析して最近10年間の脳卒中罹患率の推移を明らかにし、将来の脳卒中罹患数の予測をしたと発表した。これは、同大附属病院の大間々真一講師らの研究グループによるもの。研究成果は、脳卒中専門国際科学雑誌「Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases」の電子版に掲載されている。
画像はリリースより
近年、日本の脳卒中死亡率は徐々に減少しているが、脳卒中発症率の日本全国や都道府県単位の推移は明らかにされていない。
そこで研究グループは、岩手県が岩手県地域脳卒中登録運営委員会に依頼実施している脳卒中発症登録のデータを解析。最近10年間の脳卒中発症率の推移を明らかにし、これをもとに将来の脳卒中罹患数の予測を行なった。
2040年に約2/3に減少するが高齢者の発症数は増加すると予測
年齢調整発症率は2008~2017年の10年間で、人口10万人あたり男性は212から177に、女性は123から97に減少していた。年齢階級別にみた脳卒中発症率を2008~2012年までの前半と、2013~2017年までの後半を比較すると、男女とも55歳以上では減少していたが、55歳未満ではほとんど変化が認められなかった。
さらに、同結果と公表されている将来推計人口から、将来の脳卒中発症数を予測した結果、2040年は2015年と比べて、男女とも発症総数が約3分の2に減少することが予測された。また、85歳未満の発症数は減少するが、85歳以上では増加することが予測された。
岩手県では最近10年間で若年者の脳卒中発症率が減少しておらず、若年者に対する脳卒中予防対策が必要だ。また、増加が予測される高齢の脳卒中発症者に対する医療や介護など、社会的対策が必要だと言える。研究グループは、今回の研究成果について、今後の脳卒中予防対策と医療や介護について重要な情報だとしている。
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