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ノロウイルスが胆汁酸を利用して細胞内に侵入していることを発見-感染研ほか

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2020年01月30日 AM11:15

ノロウイルス感染時における胆汁の働きを明らかに

日本医療研究開発機構(AMED)は1月28日、一部のノロウイルスが、胆汁酸により誘導される複数の細胞活動を巧みに利用して、細胞内に侵入していることを明らかにしたと発表した。これは、国立感染症研究所ウイルス第二部の村上耕介主任研究官の研究グループが、北里大学の片山和彦教授、米国ベイラー医科大学のMary K. Estes教授のグループと共同で行ったもの。研究成果は米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」のオンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

ノロウイルスは冬季に流行する急性胃腸炎の主要病原体で、大規模な食中毒を引き起こすこともある。研究グループは、「小腸オルガノイド」においてノロウイルスが増殖することを、2016年にサイエンス誌に発表している。また、一部のノロウイルスが、小腸オルガノイドへの感染時に胆汁を必要とすることも明らかにしたが、ノロウイルス感染時における胆汁の働きについては不明のままだった。

新たな知見がノロウイルスに対する予防・治療法の開発につながる可能性

今回研究グループは、小腸オルガノイドへの感染時に胆汁を必要とするノロウイルスを用いて、ウイルスが細胞に侵入する過程に焦点を当てて研究した。その結果、胆汁に含まれる胆汁酸とセラミドが、ノロウイルスの細胞への侵入に重要な役割を果たすことを発見した。

また、胆汁酸を細胞培養液に加えると、エンドサイトーシスの促進、エンドソーム酸性化の誘導、腸内腔側細胞膜のセラミドレベルの増加など、複数の細胞活動の変化を引き起こすことも明らかにした。さらに、ノロウイルスがこれら複数の細胞活動の変化を巧みに利用して細胞に侵入していくことを示した。

ヒトが食品を摂取すると、小腸への胆汁の分泌という生体反応が引き起こされる。食中毒関連ウイルスであるノロウイルスが、この生体反応に相乗りして細胞へ侵入しているという知見は、ノロウイルスに対する予防・治療法の開発を考える上で重要な情報となる。今後、ノロウイルスに対して有効な消毒薬、抗ウイルス剤が開発・確立されることで、ノロウイルスによる脅威が大幅に減少することが期待される。

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