日本製薬工業協会の中山讓治会長は27日、都内で記者会見し、中央社会保険医療協議会が取りまとめた2020年度薬価制度改革で、新設された効能変化再算定の特例に言及。「効能追加への開発意欲の低下につながる」と述べ、反対姿勢を強調した。その上で、22年度改革の議論に向けては、「薬価収載後のイノベーション評価の充実については改善が必要」と述べ、効能変化再算定の特例を見直す方向で提言を行っていく考えを示した。
20年度改革では、薬価収載後の評価をめぐり、類似薬がなくても参照薬と比べて著しく1日薬価が高く、市場規模が拡大すると考えられる場合は、現行の効能変化再算定と同様の再算定を行う特例が設けられた。
中山氏は、特例拡大再算定や市場拡大再算定などに続き、効能変化再算定の特例が導入されたことを受け、「薬価を下げる評価はたくさん出ているが、このままだと効能追加のための開発のモチベーションが下がる。下げる圧力を超える大きさではなくても、効能追加のインセンティブを付けないと、患者にとってもったいない」と訴えた。
その上で、「効能追加は再算定による薬価引き下げリスクとしての意味合いが強い。22年度改革に向けた検討事項と考えている」と述べ、効能追加などで有用性が示された品目の評価拡充を求めた。
業界が提案していた新薬創出等加算の品目要件・企業要件見直しについては、「いずれも改善されたが、限定的なものとなっている。十分には納得していない」との認識を示した。特に最初の品目が薬価収載されてから3番手以内に収載された医薬品に対象を絞っている品目要件については「3番手、4番手であっても、その製品の方が既存品よりも良かったという事例があることを理解してほしい」と訴えた。
類似薬選定の基準見直しについては、現行の薬理作用や効能効果などの基準に加え、医療実態の類似性などについて総合的に勘案できる仕組みに見直すよう要望していたが、継続検討することになった。
中山氏は「業界としても事例集積に積極的に取り組んでいきたい」との考えを示した。