睡眠潜時・睡眠効率・中途覚醒時間、プラセボ群より有意に改善
エーザイ株式会社は1月23日、自社創製のオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ(TM)錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg」(一般名:レンボレキサント)について、不眠症の適応で日本での製造販売承認を取得したと発表した。
今回の承認は、主に、合計約2,000人の不眠症成人患者を対象に実施した2つのピボタル臨床第3相試験(SUNRISE 2試験およびSUNRISE 1試験)、夜間覚醒時および翌日の姿勢安定性(ふらつき、転倒リスクの予測因子)や記憶力などの持ち越し効果について検討した主要な安全性試験(108試験、106試験)の結果に基づくもの。
SUNRISE 2試験は、日本を含むグローバルにおいて、18~88歳の不眠症患者949人を対象に、デエビゴ(5mg、10mg)の長期の有効性および安全性を評価した6か月のプラセボ対照臨床第3相試験。主要評価項目である睡眠潜時(就床から入眠までの時間)、ならびに副次評価項目である睡眠効率(就床時間に対する全睡眠時間)および中途覚醒時間について、電子睡眠日誌を用いて患者の主観評価により評価した。同試験の結果、デエビゴ(5mg、10mg)投与群は、有効性に関する主要評価項目および全ての副次評価項目を達成。睡眠潜時、睡眠効率および中途覚醒時間について、プラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が確認された。さらに、日中の機能について、不眠重症度質問票における日中機能に関する評価項目および疲労重症度スケールによる評価の双方において、デエビゴ(5mg、10mg)投与群はプラセボ投与群と比較して統計学的に有意な改善が確認された。デエビゴ(5mg、10mg)投与群で観察された主な有害事象は、傾眠、上咽頭炎、頭痛、インフルエンザだった。
SUNRISE 1試験は、55歳以上の不眠症患者1,006人(65歳以上が約45%)を対象に、国内未承認のゾルピデム酒石酸塩徐放性製剤(6.25mg、以下、ゾルピデムER)との比較により、デエビゴ(5mg、10mg)の有効性および安全性を評価した1か月間のプラセボ対照臨床第3相試験。主要評価項目である睡眠潜時、ならびに副次評価項目である睡眠効率および中途覚醒時間について、睡眠ポリグラフ検査法により客観評価した。同試験の結果、デエビゴ投与群は、主要評価項目ならびに副次評価項目を達成し、ゾルピデムER投与群およびプラセボ投与群に対して有意に優れていることが確認された。日中の機能について、不眠重症度質問票を用いて評価した結果では、デエビゴ(5mg、10mg)投与群がプラセボ投与群との比較において統計学的に有意な日中の機能の改善を確認。デエビゴ(5mg、10mg)投与群で観察された主な有害事象は、頭痛と傾眠だった。
両試験において、薬剤の投与を中止することにより投与前よりも強い不眠症状が現れる反跳性不眠は確認されず、いずれのデエビゴ投与群においても投与中止後の離脱症状は見られなかったとしている。また、SUNRISE2試験において、不眠症に併存する疾患の有無による部分集団解析を行った結果、両部分集団において同剤の有効性に大きな違いが見られなかったことから、原発性のみならず、うつ病などに併発する不眠症への有効性が示唆された。
デエビゴの安全性について、55歳以上の健康成人および不眠症患者を対象とする無作為化、プラセボおよびゾルピデムER対照試験(108試験、SUNRISE1試験)において、デエビゴ(5mg、10mg)の投与翌日のふらつき、記憶力への影響について評価。両試験の結果から、いずれのデエビゴ投与群においても、翌日のふらつきおよび記憶力についてプラセボ投与群と比較して問題となるような悪化は見られず、臨床上問題となる持ち越し効果は確認されなかった。
オレキシン神経伝達に作用し過度な覚醒状態を緩和することで、覚醒中枢と睡眠中枢のバランスを整える
デエビゴは、脳内で覚醒に関与するオレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗剤。覚醒と睡眠リズムの調整を担うオレキシン神経伝達に作用し過度な覚醒状態を緩和することで、覚醒中枢と睡眠中枢のバランスを整える非鎮静作用の治療薬だ。同剤は、オレキシン1および2受容体双方を阻害するが、ノンレム睡眠の抑制にも関与するオレキシン2受容体への親和性がより強く、結合・解離が速いことから、患者に速やかな入眠と睡眠維持をもたらすことが期待される。
また、同剤は、入眠困難、睡眠維持困難のいずれかまたはその両方を伴う成人の不眠症の適応で2019年12月に米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得。米国では、承認後90日以内に予定されている米国麻薬取締局(the U.S. Drug Enforcement Administration:DEA)によるスケジュール審査の完了後に発売する。カナダでは、2019年8月に新薬承認申請を行っている。
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・エーザイ株式会社 プレスリリース