■後発品企業の再編加速か
総合リース企業のオリックスは14日、国内後発品中堅の小林化工を子会社化すると発表した。今月中をメドに小林化工の発行済み株式の過半数を取得するが、出資比率や株式取得額は非開示。オリックスが医療用医薬品事業を獲得するのは初めてとなり、小林化工の現経営体制は維持し、代表取締役の異動などはない。国内後発品大手が海外企業の買収を通じて、グローバル展開を加速させるのに対し、小林化工は異業種企業であるオリックスの連結子会社となることで、本格的な海外進出を図る。国内で後発品の使用割合80%に近づく中、今後さらに後発品メーカーの業界再編が加速する可能性もある。
小林化工は、1961年設立の福井県に本社を置く後発品メーカーで、従業員数は728人。経口剤と注射剤の研究開発や製造、販売を手がけ、MR79人体制で約270品目を販売している。
昨年度の連結売上高は412億円と、後発品業界では日医工や沢井製薬の専業大手に続く第2グループに位置している。福井県内に五つの製造工場、二つの研究所、一つの物流センターを保有している。
同社は、9月に国内で後発品の使用割合80%の到達が見込まれる中、海外展開や抗癌剤などの高薬理活性製剤、服薬しやすい剤形など付加価値型の後発品を事業の柱として成長を目指していた。
中でも海外展開については、71年の台湾を皮切りに韓国、香港、ベトナム、パキスタン、ミャンマー、モンゴルなどアジアを中心に自社製品の承認を取得。現地パートナーと提携し、輸出による事業展開を進めている。
ただ、事業環境の変化を背景に、原薬調達や海外展開における販路拡大など、国内外で事業基盤を強化するためには、同業との連携ではなく、異業種との連携が最適と判断。
国内外で強力なネットワークを持つオリックスの連結子会社になることを決めた。
今後、小林化工の経営体制は維持するものの、オリックスから同社に取締役や監査役を配置し、ガバナンスを強化していく。オリックスが世界37カ国・地域に置く拠点を活用し、海外展開の加速を狙う。特にアジアでは13カ国に現地法人を置いており、小林化工が本格進出する際に協業する現地企業を選定し、海外での販売を後押ししていきたい考え。
オリックスは、2016年からヘルスケア事業を強化しており、医療法人向けリースやファイナンス、医療機器関連のレンタルサービスの提供にとどまらず、原薬商社や医療機器販売会社、動物薬メーカーに出資してきた。
今後、踊り場を迎える後発品事業についても、オリックスの事業基盤やネットワークを活用すれば出資先企業の企業価値を向上させることが可能と判断し、出資先を検討。
先発品の特許切れから短期間で製品を上市できる小林化工の技術力や研究開発力を高く評価し、傘下に入れることを決めた。