厚生労働省は、2020年度診療報酬改定に関する議論の整理を、10日の中央社会保険医療協議会総会に示した。病棟薬剤業務実施加算の評価を見直すことや、処方医からの指示に基づき薬局が重複投薬を確認し、その結果を文書で報告したケースを新たに評価することなどを盛り込んだ。一方、特定機能病院でのフォーミュラリー作成に対する評価は記載を見送ったが、支払側委員から再考を求める意見が出た。
骨子案では、薬剤師が病棟業務を行うことで医師の負担軽減を促すため、病棟薬剤業務実施加算の評価、対象となる病棟を見直すとした。病棟薬剤業務実施加算と薬剤管理指導料については、常勤薬剤師の配置要件も見直す。
また、重複投薬を解消するため、かかりつけ医が重複投薬に関する他の医療機関との連絡・調整を行う取り組みに対して新たに評価する。内服薬の調剤料の評価を見直すと共に、処方医からの指示に基づき薬局が薬剤の重複投薬を確認し、その結果を文書で報告したケースを新たに評価する。
対人業務の評価として、喘息患者に練習用吸入器で吸入指導を行い、その結果を医師に情報提供することや、経管薬剤投与を行っている患者が簡易懸濁法を開始する場合、薬局が必要な支援を実施した場合なども評価する。
患者が同じ薬局を繰り返し利用することを進めるため、6カ月以内に同じ薬局を利用した場合の薬剤服用歴管理指導料について、再度の来局期間や対象薬局の要件を見直す。抗菌薬適正使用支援加算も、小児抗菌薬適正使用支援加算の対象患者や頻度の要件を見直すとした。
さらに、後発品の使用を促すため、後発品の調剤割合が高い薬局に重点を置いた評価となるよう後発品調剤体制加算の評価を見直すほか、後発品の調剤割合が著しく低い薬局の減算規定要件も見直すとした。
一方、厚労省が提案していた、特定機能病院でのフォーミュラリー(使用ガイドつき医薬品集)作成に対する評価や、患者の血液検査値を活用して処方内容が変更された場合の評価拡充などは記載を見送ったが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「フォーミュラリーの評価は今改定のポイントと考えていたため、見送ったことは残念。特定機能病院から先鞭をつけないと、また2年遅れることになる。再考すべき」と主張した。